JSTについて

理事長挨拶

画像:国立研究開発法人科学技術振興機構 理事長 橋本 和仁

就任以来、2度目の新年を迎えました。昨年は、緊迫した国際情勢の中、物価高や酷暑などさまざまな困難に直面した一方で、ChatGPTをはじめとしたAI(人工知能)が注目され、技術の急速な進歩を肌で感じた1年でした。新しい技術への期待が高まる中で、JSTは日本の科学技術・イノベーション政策の中核的な実施機関として、着実にその役割を果たしてまいります。

科学技術立国である日本において、喫緊の課題となっているのが、研究開発力の強化です。JSTは、研究開発プロジェクトへのファンディング機能、科学技術に対する社会への理解増進を深める機能、研究開発に関する調査分析などを行うシンクタンク機能を3つの柱として、研究開発力の強化に取り組みます。その中でも、研究開発力の強化に大きな貢献を果たしていくことが期待されている戦略的創造研究推進事業をはじめとしたさまざまなファンディング事業を、研究コミュニティーや政府関係機関と連携を図りながら真摯しんしに取り組んでまいります。

新たなプログラムでは、緊急性の高い国家戦略分野のイノベーション創出を図るため「次世代AI人材育成プログラム」を創設し、AI分野に関係する新興・融合領域の若手研究者、博士後期課程学生の支援強化に努めます。また「情報通信科学・イノベーション基盤創出プログラム」を開始します。このプログラムでは、将来の日本の行く末のカギを握る革新的なICTの創出・進化に向けた研究開発を推進します。

先進国のトップ研究者との国際共同研究を促進する事業や、GX(グリーントランスフォーメーション)技術の推進に取り組む事業、大学発スタートアップ創出の抜本的強化を図る事業など、新たに基金を創設した事業についても注力してまいります。また、経済安全保障上のニーズを踏まえた重要技術の育成にもこれまで以上に力を入れて取り組みます。新たな科学技術・イノベーションの創出には、将来を担う若手研究者の育成が不可欠であり、未来のアカデミアをけん引する若手研究者の育成を促す創発事業や、博士後期課程学生を支援する人材育成プログラムも、より強化していく所存です。

本年も引き続きの皆様のご支援、ご協力をお願い申し上げます。

令和6年1月
国立研究開発法人 科学技術振興機構
理事長

橋本 和仁の直筆サイン