研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
アグリ・バイオ
プロトタイプ
ジャンボタニシをやっつけろ! -工学的手法による防除法の開発-
キーワード :  ジャンボタニシ、水稲、食害、水田作物、走電性、電気誘引、超音波、殺貝、電界、電流密度
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 地域産学バリュープログラム
研究開発課題名 フィールド・テストによるジャンボタニシの電気的防除法の確立(開発期間:平成29年10月~平成31年1月)
ニーズ元企業名 エビスマリン株式会社 研究者 柳生 義人(佐世保工業高等専門学校)

水田作物に被害を与えるジャンボタニシ(和名 スクミリンゴガイ)を電気で集め、超音波で殺傷する防除技術を開発している。ジャンボタニシは、1980年代に食用として日本に持ち込まれて以来、水稲やレンコン、イグサなどの水田作物を加害するやっかいな外来種として知られている。佐世保高専では、ジャンボタニシが電気の影響を受けてマイナス極方向に移動する特異な行動特性を示すことを見出しており、本研究課題では実用化に向けた検討を行った。実際の水田を模擬した実験用水田(2.5m×2.7m)に幅20cmの電極を等間隔に10枚設置し、電圧48Vを印加したところ、誘引率は24時間後に約80%に達した。実際の水田を想定した実験環境で、ジャンボタニシを誘引できたことを受け、有機水田で実地試験を行ったところ、誘引電極の周辺に約600頭のジャンボタニシ(幼貝)を捕獲することができた。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

ジャンボタニシの防除は、未だに人の手に頼るところが多く、農家の方々の大きな負担となっている。本貝は、九州地方を中心に関東以南の32都府県、10万ha以上の水田に侵入していると言われ、更なる分布拡大が懸念されている。また、ジャンボタニシの被害は、日本のみならず、アジア地域やハワイ諸島で報告されており、国際的に解決すべき問題となっている。工学的手法によるジャンボタニシ防除法を確立し、ジャンボタニシを自動で集めて駆除する装置の開発を進めている。

開発者の声

ジャンボタニシの電気に対する特異な行動特性を実際の水田で検証し、実用的な知見を得られたことは、非常に大きな意義があった。本成果を更に発展させ、令和2年度A-STEP産学共同(育成型)では、工学的防除対策モデルの効果検証に関する研究を継続している。ジャンボタニシの食害リスクや防除の手間、重労働から農業生産者を解放し、省力化および生産性の向上、環境保全型農業の推進に寄与していきたい。
この成果は、以下のメディアにて紹介されました。
●毎日新聞:2019年9月28日(1面)「ジャンボタニシを超音波で駆除 成功したら「ビリビリホイホイ」と命名へ」
農林水産省:2019年農業技術10大ニュース TOPIC 6「ジャンボタニシを電気で捕獲、超音波で退治-水田の侵略的外来種、薬剤を使わず駆除-」
 ※10大ニュースの一覧はこちら農林水産会議>過去の農林水産研究成果10大トピックス>2019年
●全国農業新聞:2020年7月31日(3面)「農業を科学するアグリとサイエンス ジャンボタニシを電気で捕獲、超音波で退治」
 ※全国農業新聞の購読会員のみ閲覧可能です。
●高知新聞:2021年5月9日付「ジャンボタニシ、IoTで操れ!四万十市の水田で実験」
●日本農業新聞:2022年9月14日付「ジャンボタニシ集まりました マイナス電極で誘い密度把握 効率防除へ長崎の高専開発」
●朝日新聞:2022年10月4日付
●テレビ長崎(KTN):2022年10月19日付
●令和3年度 長崎県科学技術大賞


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