※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
アグリ・バイオ
製品化/起業
キーワード :
糖加水分解酵素、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ、NGLY1欠損症、グライコバイオロジー
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) マッチングプランナープログラム
研究開発課題名
遺伝病治療薬探索のための糖鎖プローブ合成法の確立(開発期間:平成28年6月~平成29年3月)
製品化企業名 東京化成工業株式会社 研究者 松尾 一郎(群馬大学)
製品化企業名 東京化成工業株式会社 研究者 松尾 一郎(群馬大学)
エンド-β-N-グルコサミニダーゼ(ENGase)の活性検出は、糖タンパク質上の糖鎖切断による分子量変化をSDS-PAGEにより解析するなどスループット性が低かった。本開発では、N-結合型糖鎖の共通コア構造5糖に消光性置換基と蛍光性置換基を導入したMM3Dを化学合成することでFRET消光の解消により生じる蛍光の増加により、酵素活性を簡便かつ高感度に検出することが可能となった。この技術により、化合物ライブラリを用いたENGase阻害剤スクリーニングにも利用可能なことを実証した(特開2017-22259)。現在MM3Dは東京化成工業より市販に至っている。また糖鎖構造を拡張したフコース結合型MM3FD(Carbohydr. Res. 2023, 特願2018-188693)やオリゴマンノース型糖鎖に対応したMM5D(Bioorg. Med. Chem. Lett., 2019)、ハイブリッド型糖鎖MGM5D(Bioorg. Med. Chem. 2024)、複合型糖鎖を有するMG2DやMG2FDなどの新規ENGase活性検出プローブを開発、基質特異性の異なるENGaseの活性検出も可能となっている。
期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)
本研究開発の技術は、ENGase活性をプレートリーダーにより、ハイスループット解析することを世界で初めて可能にした。様々な生物試料から産業上有用な新規ENGaseの探索が可能となる画期的な技術である。また、ENGase阻害剤の探索も可能でありENGase研究に有用なツールを見出すことも期待される。開発者の声
当該開発ではENGaseの簡便な活性検出法を開発した。現在、糖鎖構造を拡張したプローブセットにより、基質特異性の異なるENGaseの解析や新規ENGaseの探索が可能となっている。今後は創薬現場で利用されているENGaseや細胞内ENGase活性の検出が可能なプローブなど、ENGase研究に有用な糖鎖分子プローブの開発研究を継続する。●日本糖質学会ポスター賞 受賞者(PDF)