※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
アグリ・バイオ
製品化/起業
キーワード :
ゲノム編集、遺伝子ノックインニワトリ、組換えタンパク質、鶏卵バイオリアクター、生物工場
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) マッチングプランナープログラム/シーズ育成タイプ
研究開発課題名
有用蛋白質大量生産を目指した「遺伝子ノックイン鶏卵」の検証(開発期間:平成27年10月~平成28年9月) /鶏卵バイオリアクターを用いた組換えサイトカイン製造実用化研究(開発期間:平成30年10月~令和3年3月)
製品化企業名
コスモ・バイオ株式会社
研究者
大石 勲(産業技術総合研究所)
ゲノム編集技術による遺伝子ノックインニワトリ作製法を世界で初めて確立し、組換えヒトインターフェロンβの卵白への大量発現(~ 60mg/卵)に成功した。また、ノックイン後代が繁殖可能なことや、後代の卵も大量の組換えタンパク質を含むことなどを確認した。高活性のタンパク質を得る方法等も含めた一連の技術の開発、検証により、有用組換えタンパク質を低コストで大量生産する「鶏卵バイオリアクター」が十分に実現可能なことを実証した。今後、既存市場のあるバイオ医薬品や研究用試薬に加え、低コスト性を活かした工業用素材、オーラルケアやヘアケアなど日用品への組換えタンパク質利用加速も期待される。ニーズ元企業のコスモ・バイオ株式会社とともにJST A-STEPシーズ育成タイプやNEDO 橋渡し事業等の支援を受けた製品化研究を行なっており、本技術を利用した組換えタンパク質の大量生産受託サービスも2019年に開始された。
期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)
鶏卵バイオリアクターによるバイオ医薬品の製造は、厚労省や米国FDAの承認例も出てきており、次世代の製造技術として注目されている。また、培養細胞に比べた低コスト性(設備投資、生産管理、知財コストに大きな優位性)、生産規模拡大の容易性から、組換えタンパク質関連産業のパラダイムシフトに繋がることが期待される。開発者の声
本制度を活用することで、企業との共同研究の本格化や公的資金を活用した橋渡しの加速、製品化や事業化に向けた様々な取り組みに繋がった。早い段階から企業ニーズと向き合うことで開発が効率化された。今後も組換えタンパク質生産にニーズのある企業と幅広く連携し、革新技術の社会実装を加速して行きたい。
●ゲノム編集により鶏卵を使って有用な組換えタンパク質を大量生産-「金の卵」を産むニワトリ生物工場の実現の見込み-[2018年7月]