
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
アグリ・バイオ
要素技術構築
キーワード :
天然細菌コンソーシアム、がん治療、微生物医薬、血栓誘導、精密医療
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 産学共同(育成型)
研究開発課題名
動物用がん診断・治療を可能にする機能性光細菌(開発期間:令和4年10月~令和7年3月)
研究者 都 英次郎(北陸先端科学技術大学院大学)
研究者 都 英次郎(北陸先端科学技術大学院大学)
本研究では、がん組織内でのみ活性化し、強力な抗腫瘍効果を示す「天然細菌コンソーシアムAUN」を発見した。AUNは2種類の共生細菌[Proteus mirabili(s A-gyo株)とRhodopseudomonas palustri(s UNgyo株)]から構成され、腫瘍血管を選択的に閉塞させることで、免疫系に依存せず腫瘍壊死を誘導する。従来のウイルス療法や免疫療法とは異なり、微生物が自律的に腫瘍環境を認識・破壊するという全く新しいメカニズムを有している。本成果は、自然界に潜む細菌間の協調進化を活かした「生きた医薬品(Living Drug)」として注目されており、再現性の高い抗腫瘍効果を動物実験で確認している。現在、作用機序の解明と臨床応用に向けた研究開発を進めており、がん治療の新たなパラダイムを拓くことが期待される。

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)
AUNは、従来の免疫療法や化学療法が届かない難治性がんに対し、新たな治療オプションを提供する可能性を持つ。既存治療との併用による高い相乗効果も期待され、がん治療市場(世界約20兆円規模)において革新的な地位を確立し得る技術である。開発者の声
学生の偶然の失敗から始まったこの研究は、自然界の叡智がもたらした発見である。A-STEPの支援を通じて、基礎研究から応用展開への橋渡しを実感している。今後は産業界との連携を深め、AUNをがん治療の実臨床へとつなげるべく挑戦を続ける。●2種の細菌による新たながん治療へのアプローチ「AUN(阿吽)」を開発―免疫不全状態でも機能が期待されるがん治療に向けて―[2025年8月]