研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
アグリ・バイオ
プロトタイプ
スキャンレス3Dホログラフィック計測・刺激顕微鏡の開発と生体応用
キーワード :  多光子顕微鏡、in-vivo、イメージング、ホログラフィック、脳神経ネットワーク、SLM、光遺伝学
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) 産学共同(本格型)
研究開発課題名スキャンレス3Dホログラフィック計測・刺激顕微鏡の開発と生体応用(開発期間:令和2年12月~令和6年3月)
プロジェクトリーダー所属機関 株式会社ニコンソリューションズ 研究者 的場 修(神戸大学)

脳の高次ネットワーク機能の研究のために、従来の光遺伝学ではできなかった、生きた個別の脳神経細胞への3次元多点同時光刺激ができるホログラフィック刺激ユニットを開発した。最大で3次元光刺激速度としては、SLMの動作周波数を500fpsとすると、20.9億点/秒を達成、50μm離れた2平面に対して242点の光刺激が可能となっている。光刺激と同時に3次元同時多点イメージングも可能で、それぞれ150μm離れた3平面を100fpsで同時観察を達成した。またユニットサイズを60cm四方の大きさにコンパクトにまとめ、設置済みの多光子顕微鏡へ後付けもできる構成をとった。これにより時間的・空間的分解能の高いデータが収集でき、複数の細胞同士のネットワーク構造の解析が容易になった。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

5千万円から9千万円の価格帯の多光子顕微鏡システムは国内で年10 ~ 15台、世界市場では40台弱である。このうちオプトジェネティクスによる脳の高次機能研究を行っている研究者は約2割となる。本ユニットは既存顕微鏡に追加し、ニコンの市販ソフトから制御可能なため、導入し易くすでに国内で数台の導入実績があり、年間54百万円の売上を予測している。

開発者の声

今回、市販顕微鏡にホログラフィック光刺激と蛍光イメージングユニットを名古屋大学・神戸大学と共同で研究レベルから製品化レベルのものを実現することができた。高速な現象の観察や広域での観察、脳深部での生命現象の観察など、新しい技術革新の課題が出てきている。続く共同研究により、脳神経科学研究が日本が世界をリードする分野となることが期待できる。本研究開発は光学と脳科学、顕微鏡メーカーが共同で取り組むことで大きな成功を収めた。


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