研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
アグリ・バイオ
製品化/起業
ウイルス感染の有無だけじゃない!牛の体質も同時に調べる検査法を開発
キーワード :  検査、牛伝染性リンパ腫、ウイルス、抵抗性遺伝子、感受性遺伝子、体質、牛、ワンチューブ、デジタルPCR
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) トライアウト
研究開発課題名病原体遺伝子と宿主の体質遺伝子を同時に検出するワンチューブ検査法の開発(開発期間:令和4年10月~令和6年3月)
ニーズ元企業名 宮崎県経済農業協同組合連合会 研究者 関口 敏(宮崎大学)

牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)は牛のBリンパ球に感染し、リンパ肉腫(ガン)を引き起こす腫瘍ウイルスである。BLVに対する治療法やワクチンはなく、完治しないため、感染拡大を防ぐには感染牛を隔離するなどの対応策しかない。中でも生まれつきウイルスが体内で増えやすい体質を示す遺伝子(感受性遺伝子)を持つ牛は、大量のウイルスを排出し、クラスターを発生する原因となる。そのため、BLV感染症の検査は感染の有無だけでなく、ウイルスの感染量と牛の体質を把握することが有効な防疫対策につながる。逆に、生まれつきウイルスが体内で増えにくい体質の遺伝子(抵抗性遺伝子)を持つ牛は、体内のウイルス量が極めて少ないため、他の牛に感染させたり、病態が進行したりするリスクが低いことが知られている。そこで本研究では、ウイルス感染の有無だけでなく、体内のウイルス量と牛の体質遺伝子を同時に検査する技術を開発した。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

従来はウイルスの検査と、宿主の体質検査を別々に実施していたが、本研究成果により一回の検査で2種類の検査を実施することが可能となった。
その結果、検査コストと作業時間の大幅な削減を実現した。病原体と宿主因子を同時に把握することで、感染の有無だけでなく、宿主の感染性(他の牛に感染させる能力)と予後を総合的に判断し、柔軟な防疫対策を講じることが可能となる。

開発者の声

第3世代のPCRとされるデジタルPCR法を用いて、牛の血液1滴から病原体と宿主の体質遺伝子を同時に検出する技術を世界で初めて開発し、国際科学雑誌で発表した。本技術に関する特許も出願済みである。現在は試薬メーカーと製品化に向けた共同研究を開始している。さらに、宮崎県経済農業協同組合連合会と共同で本技術を活用した受託検査事業を開始した。
この成果は、宮崎大学からプレスリリースとして発表されています。
●牛伝染性リンパ腫ウイルスと宿主の体質遺伝子を同時に検査する技術を開発~研究成果が発表されました~[2023年2月]

この成果は、以下のメディアにて紹介されました。
●日本農業新聞(2023年3月8日付 総合1面)

特許出願(特願2022-140503) 「抗病性及び病原体遺伝子の同時検査方法並びに抗病性及び病原体遺伝子の同時検査キット」



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