研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
アグリ・バイオ
製品化/起業
菌根菌の感染を促進できるリンドウ科植物由来成分を利用した農業資材開発
キーワード :  アーバスキュラー菌根菌、リンドウ科植物、セコイリドイド配糖体、生薬、感染促進、減肥、作物増収
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) トライアウト
研究開発課題名 生薬抽出液を利用した菌根菌資材の接種効果を安定的に高める技術開発(開発期間:令和4年10月~令和6年3月)
ニーズ元企業名 株式会社ハイポネックスジャパン 研究者 上中 弘典(鳥取大学)

菌根菌との共生により植物は土壌中のリンを効率的に利用できるようになるため、減肥や収量増加を期待して作物栽培に菌根菌の利用が期待されてきた。しかし、菌根菌資材による接種効果が低く、その効果も不安定なことが普及を妨げているのが現状である。本研究では、アーバスキュラー菌根菌の感染促進物質として新規に同定したリンドウ科植物由来のセコイリドイド配糖体を利用して、菌根菌資材の接種効果や土着菌根菌の感染を安定的に高めることが可能な新たな農業資材の製品化を目指した開発を行った。精製品の代わりに生薬抽出液を用いることで低コスト化を図るとともに、抽出条件の最適化を行った。また、複数の栽培作物・土壌環境での効果の検証を行うことで、コスト面と機能面の両方で製品化可能であることを確認した。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

肥料価格の高騰などもあり、菌根菌資材などのバイオ肥料は特に世界的に拡大傾向にあると予想されている。このようなニーズの高まりの中、製品化する資材は唯一の技術をベースにしているため、市場ニーズが高いと予想される。安価な「菌根菌感染促進資材」として、菌根菌資材とのシナジー効果による売り上げも期待できる。

開発者の声

A-STEPへの採択を機に、ニーズ元企業と共に製品化に特化した研究開発を実施することができ、製品化に目処が立ったことは非常に意義があったと考える。今後は、製品形態や土壌への施用方法の最適化、様々な栽培作物・土壌環境での実証試験等を実施しつつ、ニーズ元企業による国内外での製品販売を目指す。
この成果は、鳥取大学からプレスリリースとして発表されています。
リンドウ科植物に特有の苦味配糖体がアーバスキュラー菌根菌の菌糸分岐を活性化することを発見[2023年9月]


このページの先頭へ