研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
アグリ・バイオ
製品化/起業
五泉市「穂咲彼岸八重桜」由来の新潟県オリジナル清酒酵母の実用化
キーワード :  日本酒、酵母、Saccharomyces cerevisiae 、テロワール、発酵、醸造、新潟清酒
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) トライアウト
研究開発課題名 地域由来微生物資源を活用した醸造用酵母の開発とその実用化(開発期間:令和4年10月~令和6年3月)
ニーズ元企業名 金鵄盃酒造株式会社 研究者 栗林 喬(新潟食料農業大学)(現 新潟県醸造試験場)

穂咲彼岸八重桜で有名な、新潟県五泉市の村松公園から分離した「五泉市酵母」(Saccharomyces cerevisiae )を親株として、金鵄盃酒造株式会社が保有する清酒酵母の1 倍体との交配を行い、「五泉市酵母」由来の清酒酵母を育種した。
得られた酵母の発酵力の検証のために、育種株と既存清酒酵母を対照として、総米1 kg の清酒小仕込試験を行った。育種した「五泉市酵母」の醸造特性は、対照である清酒酵母と比較しても、発酵経過やアルコール生成能において同程度であり、既存酵母と同様に高品質な製成酒が得られる可能性が高いことがわかった。
この育種・改良された「五泉市酵母」を用いて、五泉市村松地域で古くから清酒製造を営む金鵄盃酒造株式会社にて、総米300 kg の実地醸造試験を行った。その結果、金鵄盃酒造ブランドによる五泉市村松地域オリジナル清酒としての純米酒の製造に成功した。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

日本酒の海外輸出拡大を見据えた新たな戦略が必要になる中、産地の差別化が明確になる清酒酵母の開発・普及は、清酒の地理的表示(GI)の申請・取得にも活用することができるとともに、海外に向けた地域ブランドの確立を推し進める上で、欠かすことの出来ない技術となる。

開発者の声

育種した「五泉市酵母」によって醸造された純米酒は、春の息吹を感じさせるような優しい香りの上立香に続き、軽快な果実様の香気と心地よい酸味が特徴のお酒となった。本研究事業で開発した技術を応用し、引き続き、各地域の微生物資源を活用したオリジナル清酒酵母の開発・実用化を加速させたい。
この成果は、新潟食料農業大学からプレスリリースとして発表されています。
●新潟食料農業大学×金鵄盃酒造株式会社×五泉市 産学官連携事業 発表会を開催しました[2023年3月]
この成果は、以下のメディアにて紹介されました。
●読売新聞:2023年3月25日 「五泉純米酒 産官学で開発」
●日本経済新聞:2023年3月27日 「金鵄盃酒造、新潟食料農業大学などと連携した日本酒」
●新潟日報:2023年3月30日 「村松公園の桜酵母で純米酒、新緑香る一杯に地元の魅力ギュッ」


このページの先頭へ