※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
アグリ・バイオ
製品化/起業
キーワード :
バイオイナート、リン酸化生体分子、HPLC、金属イオン、PTS法、HAMMOC法
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) シーズ育成タイプ
研究開発課題名
リン酸化生体分子群のためのバイオイナート分離システムの開発(開発期間:平成29年10月~令和2年3月)
プロジェクトリーダー所属機関 株式会社島津製作所 研究者 石濱 泰(京都大学)
プロジェクトリーダー所属機関 株式会社島津製作所 研究者 石濱 泰(京都大学)
HPLC市場におけるタンパク質、核酸などの高分子医薬品関連の占める割合は増加傾向にあり、測定機器の「バイオイナート」化の需要も高まっている。現状のHPLCシステムで使用されている流路素材は、生体適合性、物理的化学的安定性、機械的強度をそなえた素材が中心となっているが、いかに生体分子との相互作用をなくすかが重要である。本研究では、特に解析が困難なリン酸化生体分子に焦点を当て、装置流路に相応しい素材を網羅的に評価した。流路への吸着および金属イオンの溶出による影響を検証し、PEEK、セラミックなどが適した素材であることを確認した。さらに、前処理プロトコールの検討も実施し、タンパク質抽出法(PTS法)やリン酸化ペプチド濃縮法(HAMMOC法)の最適化により、ヒト子宮頸がんHeLa細胞由来タンパク質10μgから1,700種以上のリン酸化ペプチドの同定・定量が可能となった。
期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)
2022年3月に本研究の成果を元にバイオイナートUHPLCシステムを発売した。バイオ・中分子医薬品分析市場への注力を強め、グローバルシェアの更なる拡大を目指している。Analytical HPLCの10%の市場はバイオ市場であり、約524百万USDの市場規模。2024年度には、年間約10億円の装置販売を目指す。
開発者の声
本研究では、大学と企業とで得意とすることを効率よく分業し、製品化に必要な多くの基礎データを取得することができた。リン酸化分子群およびペプチド、たんぱくに対して、低吸着・高回収率で高感度なHPLC システムのトータルソリューションの提案を目指し、様々な検証を実施したが、まだ課題は残っており、引き続き、検討を進めたい。●バイオ・中分子医薬品向けLCでシェア拡大へ 高速液体クロマトグラフ「Nexera XS inert」を発売[2022年2月]