研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
アグリ・バイオ
製品化/起業
NGS解析に基づく気候危機に負けない超多収・大粒・早晩生コシヒカリのゲノム育種
キーワード :  次世代シーケンサー、全ゲノム解析、Rad-seq、大粒、バイオマス、短稈、早晩生、スーパーコシヒカリ
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)  ハイリスク挑戦タイプ
研究開発課題名 グローバル化時代と地球温暖化に適した超多収・大粒・早晩生イネの次世代シーケンサー・ゲノムワイド解析による開発 (開発期間:平成26年12月~平成30年3月)
プロジェクトリーダー所属機関 幸福米穀株式会社 研究者 富田 因則(静岡大学)

日本の在来品種・系統から粒重を34%増加させる大粒遺伝子GW2、頑健・強稈で穂数を2.3倍に増加させるバイオマス増大遺伝子Bms、背丈を20 cm短縮して倒伏を防止する短稈遺伝子d60、開花を2週間早める時無し性早生遺伝子e1等、気候変動に強く、低コスト多収化に有効な新規遺伝子を次世代シーケンス解析で同定した。さらに、5回以上の連続戻し交雑毎に遺伝子型を診断するスマート育種法によって、緑の革命以来多収育種の拠りどころにしてきた短稈に加えて、新たに頑健、バイオマス増大、大粒、早晩生、病害虫抵抗性遺伝子をコシヒカリのゲノムに統合したスーパーコシヒカリ11品種「コシヒカリ駿河Gg、d60Gg、e1Gg、Hd16、d60Hd16、d60Bms、sd1Bms、d65Bms、d63、d65Gw、およびBmsGw」(このうち7品種は種苗法による審査を経て品種登録済み)を従来の育種法に比べて迅速に作出した(図1、2、3)。これらの新品種は、短稈に依存してきた草型を打破する頑健・多収型のフェノタイプを持っており、「新・緑の革命」の魁になることが期待される。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

激化する気候変動により、我国はもとより地球規模で作物に損害が生じており、「新・緑の革命」による世界貢献が政府のイノベーション政策に掲げられている。本研究で開発した頑健、バイオマス増大、大粒、早晩生化した新品種「コシヒカリ駿河シリーズ」は、新潟コシヒカリの1俵12,000~13,000円と相応の価格帯と遜色のない品質であった。コシヒカリは我国におけるシェアが34%に及ぶが、大型台風や豪雨で多大の損害を被っており、頑健・多収で国際競争力に優れるスーパーコシヒカリへの業界の期待は大きい。

開発者の声

本研究によって同定・蓄積された遺伝子及び同質遺伝子系統のリソースは、国内外を問わず地域・環境に最適な遺伝子を持つ新品種の開発に役立つ。国家的な経済戦略である新・緑の革命に貢献するため、イノベーション創出による国際支援活動を推進する。
この成果は、以下のメディアにて紹介されました。
●静岡新聞 2017年7月11日朝刊(1面)「大自在」 ●静岡新聞 2017年12月4日朝刊(17面)「コメ改良の裏側 ゲノム解析解説」
●商経アドバイス 2020年8月3日(3面)「コシ低コスト生産に貢献ーゲノム育種技術で品種群開発ー短稈・大粒・多収化実現」

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