研究開発成果
※研究者の所属・肩書および参画企業等記載は課題採択または記事掲載時のものであり、現在とは異なる場合があります。
アグリ・バイオ
製品化/起業
長日要求性素材と遺伝子解析を応用したアブラナ科極晩抽性実用品種の開発
キーワード :  アブラナ科、晩抽性、DNAマーカー、ハクサイ、遺伝解析、抽だい、育種、品種、とう立ち
研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP) シーズ育成タイプ
研究開発課題名 長日要求性素材と遺伝子解析を応用したアブラナ科極晩抽性実用品種の開発(開発期間:平成24年10月~平成29年7月)
プロジェクトリーダー所属機関 株式会社サカタのタネ 研究者 若生 忠幸(農業・食品産業技術総合研究機構)

ハクサイについて、これまで早期抽だい(早期開花、とう立ち)を防ぐために加温育苗が必須であった作型(栽培時期)に無加温で収穫できる新品種を育成しようとした。また、品種開発を促進するための開花関連遺伝子解析やDNAマーカー開発を目標に研究を実施した。その結果、極晩抽性を支配する2つの遺伝子についてDNAマーカーによる効率的な選抜手法を確立した。この手法を用いて新品種開発を進めた結果、既存品種では早期抽だいのために収穫できなかった作型において高い商品化率の得られる生食兼用ハクサイ新品種「いとさい1号」を育成し、2021年10月に登録出願を行った。この品種は、従来不可能であった早春播き(無加温)作型の実現に向け、大きな一歩を踏み出させるものである。

成果説明画像

期待されるインパクト(効果、意義、市場規模、売り上げ予測)

晩抽性は、多くのアブラナ科主要野菜において安定供給に直結する重要な育種課題である。一方、晩抽性は花が咲きにくく、世代更新に時間が掛かる形質であることから、品種改良を迅速に進めることは困難であった。本研究によって、ハクサイの極晩抽性の遺伝解析やDNAマーカー開発が進み、極晩抽性遺伝子を効率的に育種に利用できるようになった。さらには、他のアブラナ科品目の育種へ利用拡大できる展望も開けてきた。

開発者の声

本プロジェクトは、極晩抽性品種育成に向け、極晩抽遺伝子の遺伝解析、圃場での栽培調査、選抜、交配、作型開発と内容が多岐に渡り、弊社単体では難しい事業であった。農研機構、大学、農業試験場と強く連携を取ることで初めてここまでの成果を得る事ができたと考えている。今後は「いとさい1号」の各地での試作を進め、本品種の上市・普及に繋げるとともに、本研究成果の他のアブラナ科品目での利用も進めたい。
この成果は、岩手大学からプレスリリースとして発表されています。
●世界最高峰の晩抽性を持つハクサイ新品種「いとさい1号」―生産コストや環境負荷を低減し、安定生産を実現―[2022年6月]
この成果は、テレビ・ラジオ各社で紹介されました。


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