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「独創的シーズ展開事業 独創モデル化」
平成19年度採択課題 事後評価報告書

平成21年1月
独立行政法人科学技術振興機構

6.評価対象課題の個別評価

ピーナツ種皮に含まれる血小板産生促進因子の医薬品化を志向した試験

企業名 株式会社常磐植物化学研究所
研究者(研究機関名) 森田 育男(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 教授)

1)独創モデル化の概要及び成果

 血小板数の減少によって出血が止まりにくくなり、進行すると頭蓋内出血などを招く血小板減少症には、現在治療薬が存在しない。国内外の製薬各社において生体内の造血因子であるトロンボポエチン(TPO)様作用を示す化合物が医薬品候補として開発中であるが、TPOは血小板の前段階である巨核球の成熟までを促進するものの血小板形成はむしろ抑制するため、有効な治療薬になり得ないとの見方もある。
 本課題では、ピーナツ種皮から見出した、TPOとは作用点の異なる血小板産生促進因子(PS6-1)の新規医薬品化を志向した試験を行った。その結果、PS6-1の製造方法を確立し、7種類の新たな活性化合物を合成した。また、これらの化合物の作用機序の検討も行った。
 今後は、得られた化合物を医薬品候補として製薬開発のラインに乗せるため、動物実験により有効性を証明する。PS6-1の作用点は巨核球から血小板への最終分化過程であることから、TPOとの組み合わせによって一層の効果を発揮する可能性もある。

2)事後評価

(ア)モデル化目標の達成度
合成は達成されたが有効な活性が得られていない。

(イ)知的財産権等の発生
関連特許について、特許出願の可能性がある。

(ウ)企業化開発の可能性
医薬品への道は険しいものと考える。

(エ)新産業及び新事業創出の期待度
産業化のためにはサプリメントなどへの展開も視野に入れた方が良い。

3)評価のまとめ

 研究としては良く為されているが、血小板産生促進因子の活性が明確でなく、また、動物実験による検証が行われていないため、その効果、将来性がはっきりしない。


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