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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 67 (H15−0257)ITSシステムにおける電波吸収材料の開発

企業名 :株式会社 アイジー技術研究所
研究者(研究機関名) :安斎 弘樹(国立鶴岡工業高等専門学校 制御情報工学科 助教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 ETC、DSRCの天井用として試作した600角の成型板は、アクリル+硬質発泡樹脂+アルミニウム板の構成で道路公団規格を満足し、準不燃規格をクリアする結果を得た。大型タイルを表面に、磁性材料を混入した発泡樹脂シートを内部に、そして裏面に金属板を施した250mm×600mm×19mmのトンネル内装用電波吸収材料は、過酷な道路環境下で、不燃性、耐久性、耐汚染回復性等の機能を備えながらDSRC通信規格の5.8GHz帯電波で、入射角0〜45〔deg〕での電波吸収能−20dB以下、入射角45〜80〔deg〕での−15dB以下をほぼクリアする結果を得た。さらに、磁性体バインドのシート材と誘電材・磁性材混入フォーム材を層状に組合せ構造とするところで双峰形の電波吸収特性を有し、2.4GHzと5GHz帯の2帯域以上の電波吸収制御が可能となる。なお、この構造及び電波吸収制御については無線LAN用の新技術として特許出願を行った。また、菱形形状でカーボンを混入した硬質発泡電波吸収材料は、2〜8GHzの電波帯全域にて、入射角0〜60〔deg〕 に対して電波吸収能−10〜−30dB以下となる優れた特性を示した。本材料は難燃性と高機能性を兼ね備えた実用材料として注目される。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 新たに発生した問題をブラッシュアップしようとしており、達成度を低めに自己評価しているが、モデル化の所期の目標はほぼ達成している。
知的財産権等の発生
 特許1件出願済み。今後2件の出願を予定。
企業化開発の可能性
 実用化するにはまだ課題は残るが、すでに製品に近い大きさのサンプルができており、性能が満足すれば企業化するのは容易と判断される。
新産業、新事業創出の期待度
 今後の研究進展およびユーザーによる評価等を通して新事業創出が期待できる。
3 ) 評価のまとめ
 モデル化の所期の目標はほぼ達成したが、実用化のための新たな課題も種々あることが明らかになり、その解決に向けて精力的な検討も進められている。今後の研究進展およびユーザーによる評価等を通じて実用化への展望も開けてくると思われる。

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This page updated on March 25, 2005
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