報告書 > 評価結果(2)研究開発課題の個別評価

研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 60 (H15−0214)高速高信頼直流用水素充填ヒューズの開発と商品化

企業名 :大阪ヒューズ株式会社
研究者(研究機関名) :南 繁行(大阪市立大学大学院 工学研究科 助教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 ヒューズの使命は過大電流発生時に、その電流を遮断し、装置やケーブルを火災等の2次災害から保護し、システムの安全性を確保するものである。そのような重要な要素部品であるにもかかわらず、特に直流電源の保護に関しては、性能や小型化の面で、多くの課題が残っている。本研究は、特に困難とされる直流回路において、ヒューズ溶断時のアークを確実に消去できるヒューズを開発することにある。この問題を解決するために、ヒューズに水素を充填した形式のものを考案し、その性能試験を行い次の結果が得られた。
直流電圧300V、電流100Aから2500Aのヒューズにおいて、水素吸蔵させた場合、設計目標の500μ秒以下での遮断性能を得ることができた。
小型化に関しては、直径30mm、長さ50mmのヒューズ容器に収まるものを試作した。
現在は試作品の段階にあり、今後生産技術の開発を必要とする。
 本モデル化によって、目的としたヒューズ遮断性能が得られた。試作品の改良により、生産性を向上できれば、製品に結びつけられることがわかり、十分目的を達成したといえる。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 目標500V、100〜3000Aのヒューズに対し300V、100〜2500Aの直流電流で500μ秒以下の遮断性能を得た。大きさも直径30mm×長さ50mmと小型化ができ、ほぼ目標を達成できたと考える。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし、今後の取得の可能性あり。
企業化開発の可能性
 すでに企業化の取り組みは開始している。量産化のためには、セラミックスにヒューズを塗布した上に水素化チタンを溶射することを考えており、実現の可能性は高い。
新産業、新事業創出の期待度
 急速遮断が困難な直流は、電気自動車、太陽光発電、風力発電などで必要なものであり、今後ますます需要が拡大する分野である。
3 ) 評価のまとめ
 直流電源の保護に重要な役割を果たすヒューズに関しては性能や小型化の面で多くの課題がある。本モデル化においては、ヒューズ溶断時のアークを確実に消去するため、ヒューズに水素を充填したものを考案し、良好な成果を得た。今後、構造の最適化や溶断時間のバラツキの減少などの課題を解決できれば新しい直流機器の発展に貢献できる。

一覧に戻る 次へ

目次に戻る


This page updated on March 25, 2005
Copyright©2005 Japan Science and Technology Agency.
www-admin@tokyo.jst.go.jp