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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 54 (H15−0199)低温酸化還元能を有する排ガス浄化触媒用新規複合酸化物の開発・製造

企業名 :阿南化成株式会社
研究者(研究機関名) :今中 信人(大阪大学大学院 工学研究科 物質化学専攻 教授) 他1名

1 ) モデル化の概要および成果
 低温酸化還元能を有する排ガス浄化触媒材料としての三元系複合酸化物(CeO2-ZrO2-Bi2O3)の物性向上について検討を行った結果、熱安定性、酸化還元能、酸化還元反応の低温化、全ての性能向上に成功した。また、触媒性能評価として、酸素貯蔵・放出能(OSC)、CO除去率(CO+O2 → CO2)、水性ガスシフト反応活性(CO+H2O → H2+CO2)を測定した。その結果、従来材料(CeO2-ZrO2)と比較してOSC値、CO除去率の向上を確認した。一方、水性ガスシフト反応活性は従来材料に比べ低い結果となったが、担持した貴金属とBiの相互反応が触媒活性に大きく影響することが分かり、今後の開発に向けて貴重な情報を得た。さらに、ディーゼル排ガス浄化触媒用途としての可能性を見出すことにも成功し、本モデル化は大きく前進した。今後、さらにユーザー評価、改良を行い工業化を目指す。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 所期の活性能を有する三元系複合酸化物触媒の製造技術に目処がついた。
知的財産権等の発生
 特許1件出願済み。
企業化開発の可能性
 排ガス等の酸化触媒として企業化の可能性はあるが、ディーゼルエンジン排ガスの浄化触媒としては、実用レベルのデータ集積が課題である。
新産業、新事業創出の期待度
 社会的意義は大きく、世界的ニーズに応えるものとして期待される。
3 ) 評価のまとめ
 新規三元系複合酸化物触媒の最適使用条件の探索、Biによる貴金属微粒子の被毒防止の検討といった課題が残されており、さらなる開発が必要であるが、自動車排ガスの浄化用触媒として実用化されれば、その社会的意義は大きく、世界的ニーズに応えるものとして期待される。
 商品化の段階では基礎的レベルでの研究段階とはまた異なる新たな課題が生ずると思われる。実用化に向けては、関係業界と共に計画的な商品開発活動を期待する。

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This page updated on March 25, 2005
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