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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 55 (H15−0200)ナノメートルオーダの3次元構造物の光による周波数特性評価装置

企業名 :ネオアーク株式会社
研究者(研究機関名) :川勝 英樹(東京大学 生産技術研究所  マイクロメカトロニクス国際研究センター 助教授) 他1名

1 ) モデル化の概要および成果
 研究者により見出された光励振による加振を計測手段とする、超高周波レーザドップラー振動計を基本とする新たなコンセプトに基づき試作開発を行った。
 目標仕様の、最小測定対象構造物:幅10nm長さ1μm、測定周波数帯域:0.1〜200MHz、振幅分解能:0.1nm、周波数分解能:10Hzに対し、それぞれ幅70nm、長さ1.8μm、0.1〜200MHz(但し、特定周波数のノイズ成分の除去が必要)、0.04nm(但し、ノイズ成分が存在する周波数では約0.7nm)、1Hzの性能を有する装置の試作を達成した。
 に関しては目標を下回ったが、現在のMEMSプロセスで製作されている構造物の計測においては満足できるレベルにあり、また、計測性能を最も左右するレーザドップラー振動計に関しては特定周波数のノイズ成分の除去が必要であるが、全体として本モデル化目標をほぼ達成できたと考えている。
 この装置が実用化されることにより(1)真空中での非接触計測が可能となるため、MEMSデバイスの製造プロセス中での機械特性の評価が可能となり研究開発の促進につながる、(2)MEMSデバイスが広く実用化された場合、生産ラインでの検査装置として導入されることが期待できる、(3)カーボンナノチューブに類するような将来の新たな微小構造物の発見時にその機械特性の評価が可能になる等の波及効果が期待される。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 実験機の試作は確実で正確に行われ、計画性も良好である。目標4項目のうち最小測定対象構造物について目標を下回ったが、全体としてほぼ達成したといえる。
知的財産権等の発生
 これから出願対象がでてくる可能性がある。また、ノウハウについても十分な蓄積があると考えられる。
企業化開発の可能性
 1年で本研究対象の開発を十分行うことは困難と思われるが、今後引き続き実用化のための検討・改良を加えれば、商品化の可能性は期待できる。
新産業、新事業創出の期待度
 本研究に関連する分野は多くの企業で進められていると思われるが、モデル化実施企業の開発の進め方は適切であるので、本評価装置が完成すれば、マイクロマシン技術分野への寄与は大きく、新産業への発展が期待される。
3 ) 評価のまとめ
 JST権利化試験で得られた光励振による加振手段と、超高周波レーザドップラー振動計による計測手段を用いる3次元構造物の周波数特性評価装置を、着実なステップをたどり試作した。当初計画の性能はほぼ満足したが、今後の試験と改良を続けることにより、マイクロマシン技術分野に有効な装置として仕上げることができると考える。

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This page updated on March 25, 2005
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