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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 45 (H15−0154)セラミックス‐金属系傾斜機能材料の低コスト実用化技術の開発

企業名 :長崎菱電テクニカ株式会社
研究者(研究機関名) :木皿 且人(独立行政法人 宇宙航空研究開発機構
 ロケット推進研究センター LE‐NETグループ 主任研究員) 他4名

1 ) モデル化の概要および成果
 本モデル化は、陶磁器製造におけるスラリー製造技術を活用し、遠心成形−凍結乾燥プロセスを用いて、内面に耐食性の高いセラミックスを配置したパイプ状の傾斜機能材料を安価に作成する。このことより、社会的ニーズを背景に将来性が高い市場といわれる環境分野への用途展開を図る。傾斜機能材料:一軸遠心成形機を試作し、200〜350Gの遠心力場で傾斜組成を形成、プラズマ焼結する方法を開発、内径12mm、外径28mm、全長10mmのパイプ状試料を試作した。材料の耐腐食性能:部分安定化ジルコニアを遠心成形-急速プラズマ焼結することにより、セラミックス材質として、常温〜亜臨界水領域の塩酸酸性水溶液に対し、ハステロイ等より高い耐食性を有する材料を開発することができた。本成果による傾斜機能材料は、耐食材料のみならず、耐磨耗材料や耐熱材料としての用途開発が可能であり新産業、新事業創出の期待は大きい。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 遠心成形の課題はほぼ目標通り達成できた。傾斜材料においては原料の粒度分布などの基本的事項の検討が不十分であり、放電プラズマ焼結(SPS焼結)条件においても、耐食性においても試験データの蓄積が必要である。
知的財産権等の発生
 遠心成形―プラズマ焼結の特許出願を検討中。
企業化開発の可能性
 自社用の傾斜材料製造技術としての実用化、傾斜材料製造装置としての製造販売等の可能性はあるが、企業化開発の可否を出せるレベルには達していない。今後の開発を期待したい。
新産業、新事業創出の期待度
 有害リアクター材料の他にも、パイプ内外面で異種材料が必要でしかも熱衝撃・熱伝達のために傾斜化が必要な用途も推察されるが、現状では新事業としての立ち上げはかなり困難と思われる。
3 ) 評価のまとめ
 遠心成形の課題はほぼ目標通り達成できたが、原料、SPS焼結、耐食性等に於いて今後検討すべき基本的事項が多く残されていると思われる。企業化・新事業創出には、今後長期にわたる研究開発が必要であり、継続した取り組みを期待したい。

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This page updated on March 25, 2005
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