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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 46 (H15−0156)TaS、TaSe電荷密度波(CDW)による走査型量子位相顕微鏡の開発

企業名 :株式会社 マエダ
研究者(研究機関名) :丹田 聡(北海道大学大学院 工学研究科 量子物理工学専攻 助教授) 他2名

1 ) モデル化の概要および成果
 本モデル化の最終目標は、走査型量子位相顕微鏡のプロトタイプを作製することにある。そのためには室温にてCDW(電荷密度波)状態を保つ探針の作製が必要であり、室温でCDW状態となる物質であるTaSe2、TaS2を用いて、目的の探針を作製することを目標とした。
 探針として用いる、結晶であるTaSe2、TaS2ナノチューブ、ナノファイバーの成長条件の最適化、電子ビーム照射による結晶成長方法の確立、TaSe2ナノファイバーを用いた探針プローブの製作を段階的に行ない、CDW状態を保つ探針を製作して走査を行なう事で原子像を取得することに成功した。また、この結果においてCDWと通常物質の近接効果による情報が得られた。これらCDW状態の工業応用のための情報をより詳細に考察し、走査型量子位相顕微鏡の実用化に向けた開発を続ける。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 TaSe2、TaS2のナノファイバー成長条件の確立、電子ビーム励起による結晶成長法の確立および探針の作成、それを用いた走査型量子位相顕微鏡のプロトタイプの作製等の当初目標は達成された。
知的財産権等の発生
 特許出願2件を予定している。
企業化開発の可能性
 市販の原子間力顕微鏡(AFM)等に装着できる電荷密度波走査型顕微鏡(CDW−SPM)の企業化が期待できる。企業化に向けての基礎開発は終了したとしており、企業化の期待は大きい。
新産業、新事業創出の期待度
 ナノテクノロジー分野での、新しい物質の創製、物性研究に役立つ重要ツールとして需要が期待できる。新産業創出への期待は大きい。
3 ) 評価のまとめ
 TaSe2、TaS2による室温でCDW状態を保つ探針の作製、および、それを用いた走査型量子位相顕微鏡のプロトタイプの作製の目標は達成された。企業化に向けての基礎開発は終了したとしており、市販のAFMに装着出来るCDW−SPMの企業化が期待できる。ナノテクノロジーの研究や新しい物質の創製に役立つ重要ツールとして、新産業創出への期待は大きい。

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This page updated on March 25, 2005
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