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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 38 (H15−0132)時限分解吸収性骨折治療材の開発

企業名 :株式会社 ビーエムジー
研究者(研究機関名) :玄 丞烋(京都大学 再生医科学研究所 助教授) 他2名

1 ) モデル化の概要および成果
 ポリL乳酸(PLLA)にハイドロキシアパタイト(HAp)を混合し、射出成形を経て静水圧押出成形することにより、ヒト皮質骨の曲げ強度及び曲げ弾性率と同等以上の力学的物性が得られることが確認された。さらにPLLA-HAp複合体に水酸化カルシウムを添加することにより、加水分解を促進できることが示唆された。しかしながら、水酸化カルシウムとともに射出成形すると顕著な分子量低下が認められたことから、添加するアルカリ性無機物を再検討するとともに、力学的物性への影響についても並行して検討する必要があると考えている。NC旋盤を用いて、PLLA及びPLLA-HAp複合体の射出成形物のネジ切り加工を試みた結果、PLLAについては容易に加工できたが、複合体の場合には気泡包含のため試料が破折してしまった。射出成形時に気泡が混入しない条件を確立するとともに、切削加工の前に気泡包含の有無を確認する手段の確立が必要であると思われる。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 複合体の成分配合比の最適化と成形及び強度の確保は達成できたが、生体内分解吸収性の制御の方法と切削加工技術に課題を残した。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし、今後の取得の可能性あり。
企業化開発の可能性
 生体内分解吸収性の制御の方法と切削加工技術に関する課題が解決されれば製品化の可能性あり。
新産業、新事業創出の期待度
 製品化されれば新しい市場が開拓できると考える。
3 ) 評価のまとめ
 モデル化の目標の一部(複合体の成分配合比の最適化と成形及び強度の確保)は達成されたが、実用化のためにはさらに分解促進剤の再検討、複合体への気泡混入防止等による、生体内分解吸収性の制御の方法と切削加工技術という課題の解決が必要である。

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This page updated on March 25, 2005
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