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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 39 FED用カーボンナノチューブ小束精密配置技術の開発

企業名 :関西設計株式会社
研究者(研究機関名) :中山 喜萬(大阪府立大学大学院 工学研究科 電気・情報系専攻 教授) 他1名

1 ) モデル化の概要および成果
 CNT(Carbon Nanotube)を電子放出源として利用したFED(Field Emission Display)は液晶やプラズマディスプレイに比較して、はるかに省電力で大画面化も容易なことが特徴である。
 しかしCNTを製造する過程において800℃程度の成長雰囲気が必要となり、基板材料の耐熱性やコストの面で困難な点が多いため、現時点においてディスプレイメーカーが量産規模の開発に成功していない。
 本開発は、CVD法で基板上に成長させた電子放出効率の良い垂直配向CNT材料をカソード電極上に転写することにより、上記の問題を解決し、大画面化、大量生産化の製造技術を確立することを目的とする。このため、基盤技術として必要なCNTの小束精密配置技術の開発を行い、実験サンプルでFED発光実験を行った。その結果、最低でもディスプレイとして必要な10ヶ所/cmのエミッションポイント達成が可能であることを確認した。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
カソード電極上へのCNT小束の精密転写の技術目標は達成された。FED発光および耐熱性も確認され、実用化の可能性が見いだされている。CNT転写効率(現状50%)の向上が当面の課題となっている。
知的財産権等の発生
 特許出願検討中。
企業化開発の可能性
 実用製品としてのディスプレイ創出には数々の技術開発課題があるが、基本的な技術は達成されているので、近未来の企業化の可能性は高い。性能向上は時間と共に解決されていくものと思われる。
新産業、新事業創出の期待度
 テレビの省電力大型化への要求が大きい。その答えの一つが、この方式によるFEDテレビであろう。需要は大きいと考えられるので、新事業創出の期待度は高い。
3 ) 評価のまとめ
 CNT小束の精密転写の技術目標は達成、FED発光および耐熱性の確認もなされた。転写効率向上が当面の課題である。実用製品としてのディスプレイ創出には数々の技術開発課題があるが、基盤技術の蓄積はあるので、近未来の企業化の可能性がある。時代の要請であるテレビの省電力大型化に答える技術として、完成時の社会的・経済的貢献度は大きく、新事業創出の期待度は高い。

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This page updated on March 25, 2005
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