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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 15 (H15−0025)環境ホルモンと指摘される化合物を含まない可塑剤の製造技術の開発

企業名 :黒金化成株式会社
研究者(研究機関名) :松本 哲(崇城大学 名誉教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 フタール酸やアジピン酸のジエステルは、軟質塩化ビニール樹脂の可塑剤として使用されているが、環境ホルモンとして作用することが指摘され、その代替材料の開発が待たれていた。
 本開発は、エステル化およびエステル交換反応に関する高活性触媒を活用し、フタール酸、アジピン酸のジエステルを含まない異種複合エステル*系可塑剤(以下「本物質」という。)の合成を目的として実施した。本開発により環境への影響の少ない各種軟質塩化ビニール樹脂用可塑剤への代替が可能となり、更に塩化ビニール樹脂再生利用産業への展開も期待される。本物質は、非揮発性、耐久性の点で優れるとともに、環境保全材料としての諸外国への提供の可能性も期待される。本モデル化では可塑剤製造の最適条件の把握のため、エステル化条件、モル比、単位操作の簡略化等を検討した。その結果、20%以上の副生があったアジピン酸ジエステル(DOA)の含量を5%に抑えられるまでに製造法を改良するに至った。
 これまでの検討では当初目標のDOA含量2%以下は未達成であり、今後以下の検討が必要である。
DOA含量が2%以下となる製造技術の確立に向けてのさらなる条件検討
これまでに得た最良品(DOA含量5%)と既存品との比較
*異種複合エステル:エステルアルコール、ジオールエステルの混合物とモノカルボン酸との反応で合成されるエステル。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 当初目標まで到達していない。
知的財産権等の発生
 現在まで出願なし。
企業化開発の可能性
 当初目標達成までにはさらなる検討が必要で、企業化にはさらに期間を要すると思われる。
新産業、新事業創出の期待度
 特定の分野での市場は大きいと考えるが、企業化にはさらに期間を要すると思われる。
3 ) 評価のまとめ
 期待する性能の可塑剤が得られておらず、企業化には合成法の再検討が必要であると思われる。

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This page updated on March 25, 2005
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