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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 16 (H15−0034)コンパクト大出力固定磁場型収束電子加速器(FFAG)用ハイブリッドコアのモデル化

企業名 :相菱電子化学株式会社
研究者(研究機関名) :森 義治(高エネルギー加速器研究機構 加速器研究施設 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 高磁界で損失の小さいコアを実用化するために、ハイブリッドコアという新たな磁界発生手段を提案する。ハイブリッドコアとは、相反する特徴を持つ2つの磁性材料を結合し、一部を高飽和磁束密度の珪素鋼板で、他の部分を低飽和磁束密度ではあるが低損失な材料(鉄系アモルファス材、ナノ結晶合金など)を使用し接合してコアとするものである。
 本モデル化開発により達成されたハイブリッドコアは、従来の珪素鋼板コアと比較すると総損失がほぼ1/3程度に低減され、消費電力や発熱の低減が可能となった。このハイブリッドコアを実用化することで、新しいFFAG(Fixed Field Alternating Gradient)誘導加速手法を用いた、(1)大出力電子ビーム(10 MeV - 10 kW )、(2)従来の 1/2 のコスト、70%のサイズ(重量:40%)、(3)メンテナンス・フリーの電子加速器を実現できる。この加速器の実用化により電子線、X線の医療・産業分野への応用拡大が期待できる。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 消費電力、コア面積の低減の当初目標は達成したが、異種金属接合方法、コア切断方法に課題が残った。パッキングファクターについては、加速器に適用できる大型のコアでの検証が必要である。
知的財産権等の発生
 今後、知的財産権の申請を行う予定。
企業化開発の可能性
 企業化の可能性は加速器へ適用できるか否かで判断される。具体的計画はないが、ハイブリッドコアの早期製品化を期待したい。
新産業、新事業創出の期待度
 低コスト小型の加速器が実現すれば、工学・医学分野への応用の期待は大きいものと思われる。滅菌、殺菌、医療向けの小型・高出力加速器として新事業創出に期待が持てる。
3 ) 評価のまとめ
 消費電力の低減、コア面積縮小の当初目標は達成した。今後の課題として異種金属接合技術、コア切断技術がある。パッキングファクターについては、加速器に適用できる大型コアでの検証が必要と思われる。ハイブリッドコアを用いた低コスト小型の加速器が実現すれば、工学・医学分野への応用の期待は大きいものと思われ、新事業創出に期待が持てる。ハイブリッドコアを利用した早期製品化を期待したい。

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This page updated on March 25, 2005
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