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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 8 (H14K−0200)赤外光弾性法を用いた半導体及び光学単結晶の微小歪み測定検査装置

企業名 :ワイエムシステムズ株式会社
研究者(研究機関名) :山田 正良(京都工芸繊維大学 工芸学部 電子情報工学科 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 GaAs、Si、GaP、InP、及びLiNbO3といった半導体及び光学単結晶ウェハーは、その材料となるインゴットを生産するときに内部歪みを生じる。ウェハーにスライスする時点で内部歪みは多少緩和するものの依然として残留し、さらに加熱によるスリップラインが生じ、致命的な欠陥となることがあり、歩留まりの低下が問題となる。これらの欠陥は、従来X線トポグラフにより検査されていたが、高価で且つ人体への影響もあり、さらには検査に数時間を要するため、製品検査に利用することは事実上不可能であった。本モデル化により試作したアレイ型複屈折計はプローブ光として近赤外レーザを使用し、試料の内部歪みの大きさに応じて発生する微小な複屈折を測定し、検査を行う装置であり、4インチウェハーの全領域を、面内の剪断歪み1×10-4以上の精度で、測定時間5分以下を実現し、高精度で高速かつ安全な、ウェハー微小歪み測定検査装置を提供することを可能とした。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 スポット型複屈折計の剪断歪み測定精度を1桁向上させた。一方、アレイ型複屈折計については、測定領域が若干狭いものの、精度向上と測定時間短縮の可能性を確認し、概ね目標は達成している。
知的財産権等の発生
 特許出願を予定している。
企業化開発の可能性
 産業用途として有用なアレイ型複屈折計はプロトタイプが完成しており、ウェハー全領域測定のための走査機構を追加すれば、広視野・高速検査装置としての企業化の可能性は極めて高いと考えられる。
新産業、新事業創出の期待度
 半導体ウェハーの新しい評価法として、またエンジニアリング・プラスチックやフィルム等の検査機として、最終検査のみならず生産工程用に適用でき、新事業創出の可能性がある。
3 ) 評価のまとめ
 従来のX線トポグラフに代わる半導体材料の評価法として、手軽で安全な新しい検査機になりうる精度、スピード等の基本的性能が確認できた。自社で企業化できる能力を有しており、広範囲の応用が考えられることから、今後の新事業創出が大いに期待できる。

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This page updated on March 25, 2005
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