報告書 > 評価結果(2)研究開発課題の個別評価

研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成15年度実施課題 事後評価報告書



平成17年1月
科学技術振興審議会技術移転部会独創モデル化評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 9 (H14K−0202)ニアネット・シェイプ・ブランクの低コスト、急冷凝固連続鋳造製造法

企業名 :矢内精工株式会社
研究者(研究機関名) :本村 貢(早稲田大学 理工学部 機械工学科 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 本課題の適用製品は、カーエアコン用Al(アルミニウム)部品である。Al部品を鍛造する場合、一般的に押出材を使用するため、部品コストの削減は極めて困難な状況にある。本課題では、急冷凝固連続鋳造法、すなわち鍛造素材とほぼ同形状の穴部を設けた凝固ロールとその上部に設けた成形ロールの間にAl溶湯を供給し、鍛造素材を得る方法を用いた。本鋳造法では、薄板素材(ストリップ・ベルト)上の所定位置に製品形状に近い鍛造素材(ニアネット・シェイプ・ブランク)が連続的に鋳造される。
 本年度では、昨年度に設置した急冷凝固連続鋳造製造装置に注湯量制御装置、注湯温度制御装置及びスラグ板厚制御装置を付加・設置し、高精度で再現・制御できる鋳造条件を実現した。本技術により、業界の至上命題である鍛造部品のコストの低減とともに、省エネルギーへの貢献が期待される。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 前年度までは技術の熟成不十分で実用化までかなりの道のりがあったが、継続により多くの問題が解決され、スラグ板厚制御を除き目標は達成された。製品の機械的性質の改善が新たな課題である。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし、今後の取得の可能性あり。
企業化開発の可能性
 企業化開発には板厚精度の達成と製品の機械的特性の改善が必須であるが、前者は成形ロールやインラインで後加工を加えることで解決の可能性があり、後者は熱処理による改善が期待される。
新産業、新事業創出の期待度
 板厚精度と脆性化の問題が完全に解決されなくても、鍛造用素材としての適用分野も存在すると考えられる。問題解決のために多少のコスト上昇があっても、期待度は低くない。
3 ) 評価のまとめ
 前年度までは技術の熟成不十分で実用化までかなりの道のりがあったが、継続により多くの問題が解決され、スラグ板厚制御を除き目標は達成された。企業化開発には更に板厚精度の向上や製品の機械的特性の改善が必要であるが、成形ロールやインラインでの後加工や熱処理による問題解決も期待される。新事業創出の期待は高いので、引き続き努力してほしい。

一覧に戻る 次へ

目次に戻る


This page updated on March 25, 2005
Copyright©2005 Japan Science and Technology Agency.
www-admin@tokyo.jst.go.jp