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マネジメントの現場から

2015年6月14日(日)  アクションリサーチ自主企画フォーラム開催報告

日本老年社会科学会第57回大会自主企画フォーラム
「コミュニティにおけるアクションリサーチ -高齢社会の課題解決に向けて-」
パシフィコ横浜 会議センター5F 502

 「コミュニティで創る新しい高齢社会のデザイン」研究開発領域では、アクションリサーチを科学的な研究方法として体系化することを目指して、領域内にアクションリサーチ委員会(委員長:袖井孝子領域アドバイザー)を立ち上げ、活動を進めてきました。その活動の過程で行われた議論や試みは入門書としてまとめられ、東京大学出版会より出版されることになりました。
 平成27年秋の刊行に先立ち、平成27年6月14日(日)日本老年社会科学会第57回大会において、「コミュニティにおけるアクションリサーチ -高齢社会の課題解決に向けて-」と題し、自主企画フォーラムを開催しました。

 はじめに、袖井委員長より本領域の概要や委員会発足の経緯が紹介されました。次に、冷水豊領域アドバイザーより、研究目的や体制・運営方法、研究プロセス、研究方法等のコミュニティにおけるアクションリサーチのポイントをお話いただきました。中でも、研究方法は従来の研究方法を活用しながらも、コミュニティの変化を捉える方法等は、アクションリサーチに適した独自の研究方法の開発が必要である点を強調されました。
 その後、芳賀博先生より具体的な進め方について神奈川県座間市の事例をもとにご発表いただき、続いて野藤悠氏より、平成23年から3年間、RISTEXのプロジェクトとして初めてアクションリサーチに取組んだ兵庫県養父市の事例を交えながら、実際に体験した若手研究者ならではの目線でアクションリサーチの魅力をご報告いただきました。
 ※発表要旨は資料をご覧ください。
 冷水先生発表資料「コミュニティにおけるアクションリサーチとは何か」(499KB)
 芳賀先生発表資料「都市部における高齢者の社会的ネットワークの形成に関する介入研究」(577KB)
 野藤氏発表資料「若手研究者が感じるアクションリサーチの魅力」(1,231KB)

 事例紹介の後、秋山弘子領域総括よりコメントをいただきました。秋山先生は研究者として長年調査研究されてきた中で、高齢者自身や高齢社会の課題を理解することはできても、解決に携われないことにもどかしさを感じ、地域に入って、現場の人と一緒に実際の課題を解決していくアクションリサーチに魅力を感じるようになったと話されました。また、社会課題を解決するアクションリサーチは老年社会科学会の飛躍に貢献しうる可能性を秘めており、それにはアクションリサーチを科学的な研究手法として体系化すると同時に、若手が参画して論文が世に出て、経験や情報を共有するネットワークをつくる必要があると話されました。

 その後、袖井委員長のファシリテートのもとディスカッションが行われました。方法論の体系化に期待する声や論文化まで非常に時間のかかるアクションリサーチに若手研究者として参加することの意義、アクションリサーチャーとしての適性、チームで取り組むことの意義、行政に協力を取りつけるノウハウ、他地域への波及の重要性と、多岐に渡って意見交換が行われ、アクションリサーチへの期待と関心の高さがうかがわれました。
 最後に、袖井委員長より、RISTEXのプロジェクトも3年の間に全てが上手く進んだのではなく、紆余曲折の中で進められたことに触れられ、アクションリサーチの発展には長期的なプロジェクトを支援する研究開発プログラムが重要であることを提起し、閉会となりました。
 ※ディスカッションの詳細は発言録をご覧ください。
 ディスカッション発言録(259KB)

 今回のフォーラムをきっかけとして、アクションリサーチに興味を持って携わる人が現れ、今後、老年学・老年社会科学の学会発表等で盛んにご報告をされるようなることを願っております。
 当日は学会最終日の最後のプログラムにもかかわらず、多くの方にご参加いただきました。ご登壇いただいた先生方、ご参加いただいた皆さま、このような発表の場を与えてくださった老年社会科学会に心より感謝申し上げます。

・研究方法としてのアクションリサーチの可能性と方法論の体系化への思いを語られる秋山領域総括(写真上)

・袖井委員長(写真中)のファシリテートのもと、予定時間を過ぎても席を立つ人がほとんどいないほど、白熱した意見交換が繰り広げられました(写真下)



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