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SATREPSの学生インターンが見たバイオマスシンポジウム
2012年9月3日〜4日 大手町サンケイプラザ

9月3日から2日間、都内で開かれた「バイオマス燃料の事業化に向けた国際戦略シンポジウム」(科学技術振興機構、国際協力機構、産業技術総合研究所、国際農林水産業研究センター、日本経済団体連合会、新エネルギー・産業技術総合開発機構が共催)は、予想を上回る935人が参加登録し、約500人の座席は満席で、立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。
シンポジウムにはタイ、インドネシア、米国から招待客が来られましたが、さまざまな空き時間を利用し、SATREPSの学生インターンにインタビューしてもらいましたので、その様子を報告したいと思います。

■「自分に誇りを持って頑張って」 米ベンチャー企業CEO


(写真1)

会場内で2日間、米ニューヨークを拠点とするベンチャー企業Green Independent Viable EnergyのChairman&CEO、Frank Corsiniさん(写真1)の案内などのお世話をさせていただき、休憩時間にお話をうかがいました。
「僕の研究は60%の人が不得意なこと、つまり、イノベーションとクリエーションだよ!」
目を輝かせて朗らかに語るFrankさん。シンポジウムでも積極的に発表者に疑問をぶつけ議論するなど、科学技術とビジネスを融合して様々な分野をリードしている彼の物事に対する真剣な姿勢が印象的でした。
「日本がとても好き」というFrankさんに、今後の日本の国際的な立場について意見をうかがったところ、「日本は科学技術が優れているのに、最近では国際的リードを失いつつある」と懸念し、「なぜ日本の力が落ちてきているのか分からないが、若い人はもっと想像力を働かせ、自分が熱中できることを見つけて自分に誇りを持って欲しい」と力強く語ってくださいました。(上智3年・酒井麻里奈)

■「政府と地域との話し合いを重視」 インドネシア評価技術庁長官


(写真2)

レセプション会場で歓談されていたインドネシア評価技術応用庁のMarzan A. Iskandar長官に、5分ほどインタビューさせてもらいました(写真2)。
シンポジウムでも強調されていた、バイオマス燃料の事業化における、政府と地方自治体とのコミュニケーションについて、インドネシアにおける実情を聞いてみました。
Iskandar長官は、「インドネシアはバイオマス資源に恵まれている国であるが、地域ごとに資源の種類や量にばらつきがみられるため、政府と地方自治体との意思疎通は特に重要視されています。定期的な話し合いも行われていて、地方自治体とのコミュニケーションは順調に図れています」と語っていました。長官は終始笑みを浮かべて話され、インドネシアのバイオマス燃料社会の未来は明るく感じられました。(ICU2年・木村匠)

■「日本が発展へと導いてくれる」 タイ科学技術院長


(写真3)

シンポジウム会場からレセプション会場に移動する、タイ科学技術院のYongvut Saovapruk院長を追いかけ、お話をうかがいました。
「日本とタイの研究における国際協定は今年で20年目となりました。長年にわたる研究の蓄積が成功のカギとなっています」という言葉が印象に残りました。また、「私たちはタイで膨大な土地を利用し、自国の科学技術を発展させてきました。日本の研究グループは持続可能エネルギーの発展へと導いてくれる存在です」とも話してくれました。
一方で、日本が研究のためにタイの広大な土地を借りるなど、さまざまな支援を受けているのは事実です。今までタイと日本が歩幅をあわせて来られたのは、お互いを尊重し合ってきたからではないでしょうか。これからもwin-winの関係でお互いの立場を理解し合い、歩み続けていくことがお互いの発展へとつながるのだと実感しました(写真3)。(筑波大1年・守屋恵美)

バイオマス燃料を開発する意義について問うと、「科学・技術的な問題だけでなく、国家間の貿易や経済協力によって成り立つもので、今後も重要となる3つのキーワードはScience, Technology, Innovationである」と話していました。
また、バイオマスを意味するタイの言葉を教えてくださいました。
“Oil on the ground”(石油燃料は普通地中深くから掘削するものだがバイオマス燃料が地上にあるものから生まれるので、「地上の石油」という比喩になるようです)。(上智大3年・酒井麻里奈)

■「エネルギー問題は日本で急務の課題」 産総研理事長


(写真4)

レセプション会場から出てきた産業技術総合研究所の野間口有理事長にも、学生インターンが取り囲み、お話をうかがいました。
日本の科学技術のあり方について質問すると、「近年、科学技術に対する説明責任が問われています。国民の税金がどのような研究に使われているかを知る人は少ないと思います。産業技術総合研究所では毎年さまざまな形で科学技術の楽しさやその応用性について伝えています。資源の少ない日本でエネルギー問題は国を代表する急務の課題です。バイオマス燃料をはじめとする新エネルギー開発の今後に期待しています」と丁寧にコメントし、記念撮影にも快く応じてくれました(写真4)。(筑波大1年・守屋恵美)

どのコメントも学生だからこそ聴くことができた貴重なものです。英語を交えてインタビューに挑戦してくれた学生インターンのみなさま、ご苦労様でした。

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地球規模課題対応国際科学技術協力(Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)の略語。独立行政法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)が共同で助成し、地球規模課題解決のために日本と開発途上国の研究者が共同で研究を行う3〜5年間のプログラムです。35カ国68のプロジェクトが実施されています。

バイオマス燃料の事業化に向けた国際戦略に関わるステークホルダーおよびプレーヤーである企業関係者、政策担当者、研究者と、バイオマス・エネルギーについての豊かな知見を持つ関係者を対象に、今回初めて開催された。