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さきがけ「光エネルギーと物質変換」研究領域 第1回国際シンポジウム「光エネルギーと物質変換:人工光合成の未来」
(The First International Symposium on Chemical Conversion of Light Energy and Post Meeting)を終えて
−2010年03月28日(日)〜29日(月) 近畿大学本部キャンパス−

さきがけ「光エネルギーと物質変換」研究領域 第1回国際シンポジウム「光エネルギーと物質変換:人工光合成の未来」を終えて_1 
さきがけ「光エネルギーと物質変換」研究領域 第1回国際シンポジウム「光エネルギーと物質変換:人工光合成の未来」を終えて_2 
さきがけ「光エネルギーと物質変換」研究領域 第1回国際シンポジウム「光エネルギーと物質変換:人工光合成の未来」を終えて_3

主催:科学技術振興機構・日本化学会
近畿大学本部キャンパス(東大阪市小若江)日本化学会第90春季年会会場

近年、地球温暖化と二酸化炭素との関連について多くの議論がなされており、化石資源に依存しない太陽光エネルギーなどの自然再生エネルギーの本格的な利用が喫緊の課題となっています。平成21年度発足の、さきがけ「光エネルギーと物質変換」研究領域(研究総括:井上 晴夫 首都大学東京戦略研究センター教授)では、太陽光の有効利用の中で最も本質的な課題の一つである「光エネルギー/化学エネルギー変換(人工光合成)」に真正面に取り組んでいます。

人工光合成に関する研究においては、(1)水を電子源とする物質変換の開発、(2)水を電子源とする際に2電子変換、4電子変換などの多電子変換を如何にして実現するか、(3)二酸化炭素の光還元の効率化、(4)水の酸化、二酸化炭素の還元を担う光触媒作用金属錯体などの開発、(5)高効率光捕集系の開発、(6)水から二酸化炭素への光電子電子伝達の実現、(7)全体のシステム化、などの多くの解決すべき課題があります。

そこで、化学研究に関連する研究者が一堂に会する日本化学会第90春季年会の会期を利用して、「人工光合成」に関する最新の研究の現状と将来展望について、海外および国内のこの分野の最先端・著名研究者を招聘し広く議論するとともに、人工光合成研究の重要性を若手研究者に情報発信し、さきがけ「光エネルギーと物質変換」研究領域の一層の研究推進に資することを目的として標記の国際学術集会を開催いたしました。

国際シンポジウム(3月28日)、参加者517名。

プログラムの概要は以下のとおり。

  • 1) 水を電子源、酸素源とする二電子変換による光酸素化:人工光合成に向けて(首都大東京戦略研究センター教授・研究総括)井上 晴夫
  • 2) 分子アレーにおける電荷蓄積(Newcastle Univ.教授・UK)Anthony Harriman
  • 3) 高機能二酸化炭素光還元触媒の創製(東工大院理工教授)石谷 治
  • 4) 遷移金属錯体を用いた光化学的CO2の還元:現状と将来展望(Brookhaven National Laboratoryシニアケミスト・USA)藤田 恵津子
  • 5) 可視光による水の酸化のための効率の良い分子触媒(Royal Institute of Tech. (KTH)教授・Sweden)Licheng Sun
  • 6) 光機能材料に向けた分子設計と分子集積戦略(Univ. of Hong Kong教授・Hong Kong) V. W. W. Yam
  • 7) 水分解を目的としたオキシナイトライド型光触媒の開発(東大院工教授)堂免 一成
  • 8) 人工光合成系に向けた無機分子材料の設計(東大院工教授)橋本 和仁
  • 9) 次世代有機系太陽電池の革新的技術開発(東大先端研教授)瀬川 浩司
  • 10) 光ナノアンテナを用いた広波長帯域太陽光エネルギー変換システム(北大電子研教授)三澤 弘明

海外招聘研究者の Harriman教授は基礎光化学、人工光合成研究で世界的に実績のある研究者ですが、今回は主に光による水素発生について最近の研究成果を講演されました。Sun教授は、光水素発生などを中心に目覚ましい研究活動を展開している欧州での研究リーダーの一人であり、今回は最近、特に注目されている水からの酸素発生について、また、Yam教授は金属錯体の基礎的な光化学挙動についての世界的な研究者であり、金属錯体の光機能についての最近の研究成果ついて報告されました。藤田 恵津子博士(シニアケミスト)は、金属錯体による二酸化炭素還元、特に反応機構について先駆的な研究展開を行っておられる二酸化炭素光還元の権威です。今回は二酸化炭素光還元の現状と課題、将来についての講演がありました。我が国の招聘研究者6名も、いずれも世界的に高く評価される研究実績を有しており、これらの世界的権威者による最新の研究成果と将来展望の紹介がなされました。参加者は日本化学会春季年会参加者を含め定員を遥かに超え517名にも達し、各講演とも多数の質問が寄せられ活発な討論が行われました。

また、平成21年度さきがけ「光エネルギーと物質変換」研究領域の採択研究者(13名)には、会場ロビーでのポスターセッションにおいて英語による研究発表を行って頂きましたが、これも大盛況で活発な討論が行われました。

さらに、本国際シンポジウムにおいて、主催者である科学技術振興機構市丸 修総括参事より事業と戦略目標について、また原口 亮二調査役より、さきがけ事業の公募概要についてそれぞれ紹介がありました。

ポスト・ミーティング(3月29日)、参加者40名。

前日の国際シンポジウムに引き続き、さきがけ研究者より研究の現状と成果、および将来展望について英語でプレゼンテーションして頂きました。海外の招聘研究者ならびに当領域アドバイザーからは、さきがけ研究者に対する励ましと貴重な助言をいただき広く討論いたしました。さきがけ研究者にとって自身の研究成果を国際レベルで問う機会になり、この経験は貴重な財産になるものと思います。

今回のシンポジウムおよびポスト・ミーティングでは、人工光合成に関して先駆的な研究を推進されている国内外のトップ研究者が一堂に会し、それぞれの研究成果と将来展望について発表していただき、課題の現状について認識を共有するとともに、解決の方向性について集中的かつ活発な討論を行うことができました。よって参加者はもちろん当領域のさきがけ研究者にとっても、自身の研究課題に関連する極めて有益な助言と情報を得る機会となったのは間違いありません。今回の国際シンポジウムの参加者は大学・企業の研究者など予想を遥かに上回る500名を超える参加があり、人工光合成分野への関心の高さが示されました。この成功を受け、人工光合成関連領域の研究の現状と重要性を引き続き広く情報発信し、当領域への新たな参画と関連研究の更なる活性化に資する事ができるよう願っていますので、皆様からのご意見ご要望などを下記あて頂ければ幸いです。

連絡先

〒192-0397 東京都八王子市南大沢1−1
公立大学法人 首都大学東京 プロジェクト研究棟302号室
独立行政法人 科学技術振興機構「光エネルギーと物質変換」研究領域事務所
技術参事 田巻 博
電話番号:042-653-3415 FAX:042-653-3416
E-mail:tamaki@chem-conv.jst.go.jp