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「精神・神経疾患の克服を目指す先端的独創的な研究を」
上記研究領域の提案募集は平成9年度より始まり、2年目の平成10年度は66件の応募があった。「脳を守る」研究領域では基礎研究に加え疾患を克服すると言う具体的な目標を立てる必要があるところに困難さがあり、このような応募数になったものと思われる。しかし、全体の1/3の22件は昨年に引き続いての応募であり、この制度に対する期待の大きさが伺われた。
今回の応募では、民間企業の研究者を研究代表者とする研究課題の提案も認められたが、提案は数件に留まり、大学からの提案が多かった。
「脳を守る」の本来の目的は近、中期未来に脳の老化や精神・神経疾患に共通する細胞レベルの病態或いは疾患の病因・病態の解明、更にその延長線上に治療・予防法の開発とする事にあり、その為の先端的かつ独創性に富む研究を第一義的に考えて選考を行った。書類による1次選考で12名を厳選し、面接による2次選考を行った。
面接に際しては、「脳を守る」と言う観点から研究テーマ、内容を検討した。また、研究代表者がそのテーマを遂行出来る十分な基礎知識、能力を有すると共にその研究の中心的かつ具体的な戦略を持ち、同時に目的達成のため共同研究者を含むチームワークが結成出来るか否かを審査した。
慎重な選考作業の結果、最終的に4件が採択された。採択されなかった研究提案にも立派なものがあり、特に研究テーマとしては優れていても「脳を守る」と言う観点からは採用を見送らざるを得ない提案があったのは残念であった。
2年間の提案を見ると、「脳を守る」領域は疾患とかなり密接な関連のある領域ではあるが、臨床に直接携わっていない基礎学者の中に魅力的なテーマが多く見られた事が注目される。この事は今後の「脳を守る」研究の発展にとって臨床医だけでなく基礎学者或いは革新的な技術開発に優れた能力と知識を有する民間企業の研究者をも含めた多角的な総合的研究の必要性を示唆しているものと言えよう。
This page updated on September 25, 1998
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