平成15年8月8日 |
埼玉県川口市本町4-1-8 科学技術振興事業団 電話(048)226-5606(総務部広報室) URL:http://www.jst.go.jp/ |
科学技術振興事業団(理事長 沖村憲樹)は、山形大学 教授 城戸淳二氏らの研究成果である「白色発光有機ELバックライト」を当事業団の委託開発事業の課題として、平成10年3月から平成15年3月にかけて株式会社アイメス(代表取締役社長 林 毅 本社 神奈川県藤沢市桐原町3番地、資本金435,270千円、電話:0466-45-5550)に委託して開発を進めていた(開発費500百万円)が、このほど本開発を成功と認定した。
液晶ディスプレイは、自らは発光しないため、背面にバックライトと呼ばれる発光装置を取り付けて表示させるデバイスである。これまでは、大画面には冷陰極管などの蛍光管、対角2インチ程度の小画面(携帯電話)の場合は白色LED等の光源に導光板、拡散板を組み合わせて液晶背面全体に均一に分散、照射するものであったが、これらの面発光技術では薄型化や軽量化に限界があるため、更なる薄型、軽量化に対応できるバックライトの実用化が望まれていた。
本新技術は、長寿命で高輝度の白色発光を直流低電圧駆動で実現した有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子に関するものである。(図1) EL素子の構造は、ガラス基板に陽極(透明電極)、ホール(正孔)注入層、ホール輸送層、発光層、電子注入層兼輸送層、陰極が順番に積層されている。各有機層は、ガラス基板上に真空蒸着などにより、薄膜として体積されている。(図2) 本開発では、各層の形成材料として、低電圧化と長寿命化のための熱安定に優れた材料を選定して、各層の膜厚条件を最適化した。これにより、直流5Vで輝度値:1,000cd/m2以上、最大発光効率:15ルーメン/W 以上、輝度半減時間(寿命時間):10,000時間以上を達成した。また、発光層は、黄色発光層と青色発光層の蛍光色素含有量と膜厚を調整することで白色発光を実現した。(図3)
本新技術により、携帯電話、PDA、カーナビ用途の液晶ディスプレイ用白色バックライト及び照明光源などへの利用が期待できる。 | ||||||
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なお、本件についての問い合わせは以下の通りです。
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