本新技術の背景、内容、効果は次の通りである。

(背景) 薄型、軽量化に対応できるバックライトの実用化が望まれていた。

 従来のバックライトは、比較的大きな液晶画面には冷陰極管などの蛍光管を光源とし、携帯電話のような小型のものには白色LEDを光源として液晶の側面や直下に配置し、光源から発生させた白色光を導光板、反射ドット、拡散板などにより、液晶背面全体に均一に分散、照射するものである。しかし、これらを光源とするバックライトは、発光面の大型化(大画面液晶への対応)、軽量化や薄型化(現在約5mm)には限界があるため、今後の液晶ディスプレイのさらなる軽量化、薄型化に対応できるバックライトの実用化が望まれていた。

(内容) 有機ELを構成する各有機層に、熱安定に優れた材料を選定し、膜厚条件を最適化することにより、長寿命で白色発光のELを実現した。

 EL素子の構造は、ガラス基板に陽極(ITO透明電極)、ホール(正孔)注入層、ホール輸送層、発光層(黄色&青色)、電子注入層兼輸送層陰極(Al蒸着)が順番に積層されている。また、有機ELの発光は、陽極から注入されたホールと、陰極から注入された電子が発光層で再結合して放出されたエネルギーによって、発光中心となる有機蛍光体が励起され、光が発生する。
 本新技術では、ホール層にホール移動度が高く、化学的に安定で、低電圧駆動に適したホール注入層&輸送層を形成し、電子注入&輸送層に長寿命化に効果のあるアルミキノリン錯体層(Alq)を形成し、さらに陰極側に熱安定性の高いアルミキノリン錯体(Alq)とアルカリ金属のリチウム(Li)の組合せを用い、各有機層の膜厚の最適化を図った。これにより、低電圧駆動で輝度および発光効率が高く、長寿命化も実現した。また、発光層には、黄色発光層と青色発光層の2層を設け、各発光層の膜厚や色素の混合比の最適化を図った。この補色効果により白色発光を実現した。
 本新技術により、厚みが2mm以下で、高輝度、高効率で長寿命の白色発光のEL素子ができた。

(効果) 液晶ディスプレイのさらなる薄型、軽量化に対応可能

 本新技術による白色発光有機ELバックライトは、
(1) 低電圧(直流5V)で駆動できる
(2) 輝度および発光効率が高い
(3)長寿命である
 などの特徴を持つため、携帯電話、PDA、カーナビ用途の液晶ディスプレイ用白色バックライト及び照明光源などへの利用が期待できる。
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