科学技術振興事業団報 第171号

平成13年8月10日
埼玉県川口市本町4−1−8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報室)

「生ごみ高速減容化システム」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 沖村憲樹)は、大阪府立産業技術総合研究所 宮内修平氏、井本泰造氏らの研究成果である「生ごみ高速減容化システム」を当事業団の委託開発制度の平成11年度課題として、平成11年3月から平成13年5月にかけて日立造船株式会社(代表取締役 取締役社長 重藤 毅直、本社 大阪府大阪市住之江区南港北1-7-89、資本金 約502億9600万円、電話:06-6569-0001)に委託して開発を進めていた(開発費約15億円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 青果、水産物などの生鮮食料品の約50%は大都市に開設されている中央卸売市場を通じて流通している。中央卸売市場では、流通に適さなくなった野菜や果物、水産物の加工により不用となった魚あらなどの動植物性残渣(生ごみ)が年間25万トン程度発生していると推測されている。現在これらの生ごみは、自治体のごみ焼却施設に可燃ごみとして搬入され焼却処理されているが、大量に発生する生ごみは、水分が90%程度と極めて高いため、焼却しにくく処理コストもかさむため、焼却処理によらない生ごみの減容化技術の確立が求められている。
 本新技術では、生ごみを微生物処理により分解し、短期間で減容化出来るようにし、1日最大50tonの処理能力を持ったシステムを開発した。本システムでは、ロータリーキルン型発酵装置内に空気供給機構を設け、発酵槽内に空気を十分に供給して好気性発酵を促進させ、発酵槽内の温度・水分等を適値に維持することにより発酵の進行を安定化し、生ごみの性状の変動を吸収して高速減容化を実現した。また、発酵槽の排気ガス中に含まれる臭気成分は熱分解により脱臭するものである。
  本新技術による生ごみ高速減容化システムは、廃棄された青果、水産物等の生ごみを1週間程度の短期間で1/10程度に減容化でき、臭気、汚水もシステム外に排出しない等の特長を持つため、生ごみが毎日大量に排出される中央卸売市場などに付設する処理システムとしての展開が期待される。

「生ごみ高速減容化システム」の開発に成功(背景・内容・効果)
開発を終了した課題の評価
図−1 新技術のシステム構成
図−2 開発装置全景

(注) この発表についての問い合わせは以下の通りです。
科学技術振興事業団 開発部
      
管理課長 夏見博康
井口 穣[電話(03)5214-8435]
日立造船株式会社 環境・プラント事業本部 システム本部
水・汚泥処理システム部 担当課長 竹田昌弘[電話(06)6569-0204]

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