「電子線照射による高機能フッ素樹脂の製造技術」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

　科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、日本原子力研究所(理事長 吉川允二)高崎研究所材料開発部次長 瀬口忠男氏、東京大学名誉教授 田畑米穂氏らの研究成果である「電子線照射による高機能フッ素樹脂の製造技術」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
　ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、滑性、耐熱性、耐薬品性などの特性に優れた、もっとも代表的なフッ素樹脂であり、パッキンやガスケット、被覆材料、各種摺動部材等、広範囲の分野で使用されている。しかしながら、PTFEは機械的強靭性が十分とは言えず、高機能化が求められていた。また、PTFEは他の高分子材料に比べて耐放射線性が極めて低く、機械的強度は真空中で放射線照射を行った場合でもわずかな線量で劣化し、電子線滅菌など医療分野や宇宙通信分野などでは使用できなかった。
　本新技術は、PTFEを融点(327℃)の直上の高温で、かつ酸素不在下で電子線照射を行い、PTFE分子間を共有結合により架橋したフッ素樹脂を製造するものである。本新技術により架橋されたPTFEは、滑性や耐熱性等PTFE自体の特性を保ちつつ、優れた強靭性や耐クリープ性、耐放射線性を発現する。そのため、半導体産業で用いられる精密部品や、食品、医療分野での電子線滅菌容器材料など、広範囲の利用が期待される。
　本新技術の開発は、日立電線株式会社(取締役社長 原 精二、本社 東京都千代田区丸の内二丁目1番2号 、資本金259億円、電話03-3216-1616)に委託する予定で、開発期間は5年、委託開発費は13億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

・「電子線照射による高機能フッ素樹脂の製造技術」（背景・内容・効果）

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