新技術事業団報 第697号

平成8年7月18日
埼玉県川口市本町4-1-8
新技術事業団
電話(048)226-5608(企画調査室)

「生分解性プラスチックフィルム(キトサン−セルロース−デンプン系)の製造技術」の開発に成功

 新技術事業団(理事長 松平寛通)は、通商産業省 工業技術院 四国工業技術研究所 海洋資源部主任研究官 西山昌史氏、企画課長細川純氏らの研究成果である「生分解性プラスチックフィルム(キトサン−セルロース−デンプン系)の製造技術」を委託開発制度の平成4年課題として平成5年3月から平成8年3月にかけて、アイセロ化学株式会社(社長牧野亘宏、本社 愛知県豊橋市石巻本町字越川45番地電話0532(88)4111資本金2億円)に委託して開発を進めてきた(開発費1億91百万円)が、このほど本開発を成功と認定した。

 環境の保全が大きな社会的課題となる中、プラスチック廃棄物に関する諸問題の有力な解決手段として、微生物などの働きで二酸化炭素と水などにまで分解する生分解性プラスチックの開発が急がれている。従来、生分解性プラスチックとしては、微生物産生ポリエステルを成分とするものが実用化されているが、生産性が低く高価であるという問題があった。
 本新技術は、天然に存在する多糖類のキトサンとセルロースを基本成分とし、これに第3成分としてデンプンを加えた生分解性プラスチックフィルムに関するものである。
 本フィルムは土壌中や海水中の微生物により分解され、天然素材のみで合成されているため分解後も自然環境を汚染する恐れがないという特徴を有するとともに、実用的な乾燥強度及び湿潤強度を有している。このフィルムは農業用の播種テープ・フィルム、漁業用の海苔養殖用胞子袋などとしての利用が期待される。

「生分解性プラスチックフィルム(キトサン−セルロース−デンプン系)の製造技術」(背景・内容・効果)

本フィルム製品(左)、及び、土壌中に2か月間放置した本フィルム

(*) この発表についての問い合わせは電話(048)226-5625内野、大塚までご連絡ください。
(企業連絡先)
アイセロ化学(株)研究室 松本(電話 0532-88-5116)


This page updated on April 14, 1999

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