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別紙

A−STEP「実用化挑戦ステージ実用化挑戦タイプ(中小・ベンチャー開発、創薬開発)」
平成25年度第2回募集新規課題 一覧

中小・ベンチャー開発

課題名 新技術の
代表研究者
開発実施企業 新技術の内容
100Mfps級高速度撮像素子を用いたマルチフレーミングカメラ 立命館大学
総合科学技術研究機構
教授
江藤 剛治
アストロデザイン株式会社

本技術は、高感度で100Mfps(1億枚/秒)以上の高速度撮影が可能な撮像素子およびそれを用いたマルチフレーミングカメラを開発するものである。

高速度撮影では撮影速度に逆比例して入射光量が小さくなるので、感度と時間分解能の高いレベルでの両立が求められる。本技術では、CCDを裏面照射型にして開口率を100%にし、可能な限り集光するとともに、光電変換で生成した信号電荷を画素深部中央へ集める。そこを取り囲むように設けた複数の電荷収集ゲートで信号電荷を短い時間間隔で選択的に収集することにより、感度と時間分解能の両立を可能とした。

本技術により、世界最高レベルの高速度撮影が可能になることから、これまで観察できなかった超高速現象の解明や関連する技術課題の解決に大きく貢献することが期待される。

大電力電子線滅菌用加速器 リッジトロン 東京工業大学
原子炉工学研究所
准教授
林ア 規託
タイム株式会社

本技術は、大電力電子線滅菌用加速器「リッジトロン」の実用機に関するものであり、従来よりも小型かつ安価に、電子線エネルギー10MeV、ビームパワー100kW以上の電子線を提供することを目指す。

電子線滅菌は、他の滅菌法(高圧蒸気滅菌、酸化エチレンガス滅菌、ガンマ線滅菌)に比べて、環境負荷が少なく、被照射物の温度上昇が無く、最終包装・梱包のまま瞬時に処理可能という利点があるが、従来の電子線滅菌装置には出力性能や導入・運転コストなどの問題があった。日本発の本技術の実用化と上市によって、環境負荷の少ない電子線滅菌法の普及が期待される。

微細気泡によるディーゼル機関燃料改質装置 久留米工業高等専門学校
機械工学科
教授
中武 靖仁
エム・イー・エス特機株式会社

本技術は微細気泡を混入した燃料によるディーゼル機関の燃費改善に関するものである。

これまでは、既存の船舶用ディーゼル機関の燃費改善のために、燃料への添加物などが種々検討されてきたが、費用対効果の面で顕著な効果が見られなかった。

本技術では、さまざまな分野に応用されている微細気泡(マイクロバブル、ナノバブル)による液体物性の改質に着目し、微細気泡を含む燃料により船舶用ディーゼル機関の燃焼の改善を図るものである。既存の船舶にも導入可能な燃料改質装置を実現することで、多くの船舶の燃費ならびに環境負荷の改善に貢献することが期待される。

高温域で劣化しない資源探査用シンチレータ 東北大学
金属材料研究所
教授
吉川 彰
株式会社C&A

本技術は、高温域でも劣化しない資源探査用シンチレータの量産技術開発に関するものである。

従来技術では、100℃超の資源探査に使用する放射線検出器において発光量とエネルギー分解能の低下から、シンチレータの性能劣化が生じノイズとの分離が困難になるという問題があった。

本技術では東北大が開発した100℃を超える温度域での発光量・エネルギー分解能が室温時と同等の性能を有する新規シンチレータにおいて、チョクラルスキー法により2インチサイズの結晶作製技術を確立し、十分な検出効率を確保するともに量産化を可能にするものである。

本技術による新規シンチレータは、深部で150℃となる高温域での資源探査において、劣化のない放射線検出器を可能とし、世界的なエネルギー開発の問題解決に貢献するものと期待される。

バイオハザード迅速検出システム 警察庁
科学警察研究所
法科学第三部
部長
瀬戸 康雄
フルイドウェアテクノロジーズ株式会社

本技術は、糖鎖による毒素迅速検出システムを応用した、食中毒の毒素・菌の早期検出用高感検出システム(検出機器と検出用チップ)に関するものである。

従来の食中毒の毒素・菌簡易検出器は低感度で測定に長時間を要し、高性能測定機は大型で高価格であったことから、高感度かつ小型・低価格の検出システム開発が望まれていた。

安価なSiNセンサーを組み込んだマイクロ流体チップ、および特定のLED光を用いた反射率測定干渉分光システムを応用した本技術による食中毒の毒素・菌新規検出器は、その簡便さと迅速性の特徴から、病院・保険所などの検査機関はもとより、食品加工の現場で有効活用可能な、食中毒の事前防止システムとして期待される。

医療用シーラント剤 京都工芸繊維大学
教授
玄 丞烋
株式会社ビーエムジー

本技術は、呼吸器外科手術時の空気漏洩防止、および脳脊ずい液漏洩防止のためのシーラント剤に関するものである。

本技術は、自己分解性を有する高分子化合物の粉末を、術中の生体組織に噴霧し生理食塩水などで湿らすことによって、瞬時にゲル化させ、生体組織との接着を促進するものである。安全な外科手術を行うため、製剤化と専用のスプレーデバイスを開発することが課題である。

本技術により、市場の90%を占める既存品であるフィブリン糊(血液製剤で感染症リスクあり)を代替し、非血液・非動物由来の材料による安全・安心な医療技術の提供が期待される。

心房細動・粗動治療薬 獨協医科大学
医学部
特任教授
金子 昇
株式会社アエタスファルマ

本技術は、心房内で血栓を生じ心原性脳梗塞の原因となる心房細動の治療薬に関するものである。

これまでの治療薬は、心房のみならず心室にも作用し、重篤な心室性不整脈を誘発する危険性があった。

本技術では、心筋細胞の筋小胞体にあるリアノジン受容体の異常により、拡張期カルシウムイオン漏出を起こし、細胞膜電位を変化させることで心房細動を誘発することに着目し、リアノジン受容体を安定化させる低分子化合物を用いて心房細動を抑制することを可能とした。

本技術により、心拍数、血圧、また心機能に対して有害な影響を与えない治療薬の創製が可能となることから、患者にとって安心で安全な医療を提供することが可能になると期待される。