(1)課題名 |
ナノ技術を用いた走査型プローブ顕微鏡の開発 |
1)研究リーダー名 |
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川勝 英樹(東京大学 生産技術研究所 助教授) |
2)試験概要と成果 |
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従来の走査型力顕微鏡の力検出分解能や質量検出分解能を原子レベルまで飛躍的に高めるための研究開発を行った。具体的には、10 nmオーダの幅の超高感度ナノカンチレバー(走査型力顕微鏡プローブ)、同ナノカンチレバー用の励振装置や周波数計測装置等で構成される、原子レベル分解能を有する走査型力顕微鏡を試作した。また、同顕微鏡において水平方向に働く力(摩擦等)を計測する機能を駆使し、黒鉛の単原子ステップの可視化に成功、ラテラルフォース顕微鏡の実現の可能性を示した。更には、微量物質の検出や細胞等生体物質の多点観測の実現を目指し、88本のナノカンチレバーから成るアレーを作製した。
特許出願件数:国内8件、海外(PCT)3件*
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3)総合評価 |
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本開発はナノ基盤技術であって、原子間力の高感度高精度測定に寄与するものである。権利化試験はほぼ計画通り実行され、特許出願件数も多数と認められる。また、機能材料・バイオ分野への応用も期待され、波及効果も大きいと判断される。本技術分野の発展は広く学術的基盤としても強く要請されており、当然ながら国内外の競争が激甚で関連特許も多い。従って権利化の促進が望まれると共に、成功時には新産業が生まれる可能性も大きいと考えられる。参画企業とよく連携し実用化に向けて一層の努力が期待される。 |
*)事後評価実施時点 |
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