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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムA(権利化試験)
における平成12、13年度採択課題の事後評価報告書


平成16年6月
独立行政法人科学技術振興機構
科学技術振興審議会技術移転部会権利化試験評価委員会


(別紙1)研究成果最適移転事業 成果育成プログラムA(権利化試験)

平成12年度採択課題 事後評価結果

3.試験課題の個別評価
(11)課題名    精神分裂病の臨床診断薬の開発;遺伝子プロファイリングによる分子 病態解析の応用
1)研究リーダー名
那波 宏之 (新潟大学 脳研究所 分子神経生物学分野 教授)
2)試験概要と成果
 統合失調症は近代のストレス社会において、極めて多くの人が発症する難病である。加えて入院治療にかかる財政的負担は数兆円を超えるといわれている。なかでも統合失調症医療の問題点は、心理症候学的診断基準でのみ分類、規定され、生物科学的で客観的な診断基準は今まで存在しなかった。
本課題では、DNAアレイというポストゲノム技術の応用により、生物学的にその病態の把握を試験した。患者の協力のもと、1万を超える遺伝子群の中から統合失調症サンプルでのみ有為に量的変化する遺伝子群(脳病態マーカー)をつきとめて生物科学的で客観的な診断方法を開発した。

特許出願件数:国内2件、海外(PCT)1件*
3)総合評価
 短い研究期間を考慮すると、権利化は進んでいると言える。  動物モデルは生体サンプルが得られるので、精神分裂病統合失調症の診断技術の基礎研究、ヒト病態の遺伝子発現レベルでの理解に貢献するであろう。反面、ヒトの診断には血液脳以外の細胞を使用せねばならず、診断法確立のためには、更に多くのサンプルを解析し診断精度を格段に上昇させることが望まれる。更に、脳と血液当該細胞のパラレリズムに関する科学的理論付けが必要である。
 現行の心理検査法に完全に置き換わる可能性は少ないが、成功すれば相互補完する新規診断法となるであろう。
*)事後評価実施時点

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This page updated on July 15 2004

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