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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムA(権利化試験)
における平成12、13年度採択課題の事後評価報告書


平成16年6月
独立行政法人科学技術振興機構
科学技術振興審議会技術移転部会権利化試験評価委員会


(別紙1)研究成果最適移転事業 成果育成プログラムA(権利化試験)

平成12年度採択課題 事後評価結果

3.試験課題の個別評価
(9)課題名    革新的多段階窒化処理による極限環境対応ナノサイズ窒化物粒子分散強化型高度組織制御高融点金属系複合材料の開発
1)研究リーダー名
高田 潤 (岡山大学 大学院自然科学研究科 教授)
2)試験概要と成果
 機械部品や化学プラント部品等のうち、超苛酷腐食環境下で使用される部品に利用可能な材料に関する試験を行った
 具体的には、独創的な多段窒化法などを利用して、1400℃以上の超高温環境対応のMo系耐熱材料の新規開発と、従来金属が完全に腐食する超苛酷腐食環境に対応する新規なMo系高耐食性・高強度・高靭性材料の開発のための試験を実施し、次の成果を得た。
 Mo系耐熱材料に関しては、多段窒化処理によって高度に組織制御した粒子分散強化型合金を作製し、これが約1700℃の超高温でも高強度・高靭性を有することを見出した。(従来のTZM合金は1400℃以下でしか使用できない)この合金材料は、種々の耐熱材料として、また高温金型・ダイスとしての応用が期待される。
 高耐食性Mo系材料に関しては、多段窒化処理の後窒化処理によりMo窒化物表面皮膜を形成させることによって、従来の金属では腐食が激しい超苛酷腐食環境、例えば沸騰濃硫酸(80%H2SO4溶液,180℃)溶液中でも完全耐食性を有し、かつ高強度・高靭性を示す新しい高耐食性材料の開発に成功した。

特許出願件数:国内2件*
3)総合評価
 きわめてユニークなアプローチによる新耐熱材料の開発研究である。これまでの研究で相当の成果が得られ、また事業化される時に役に立つレベルで、そのプロセスや製品の組織構造などについての権利確保も進んでいる。しかし、現時点ではこの材料の使用が有望視される応用が特定されていない。とくに、現在該当雰囲気で使用可能であり、必要な機械的強度もある適当な耐熱材料がないために、高コストになったり、実用化出来なかったりしている製品やプロセスの特定が急務である。そのためには現在欠けている本プロセスにより強化されたMo系複合材料の高温での機械的強度の測定および使用可能な雰囲気の確認が急務であろう。窒化時間を短縮しコストを下げたり、大量生産のシステムを検討したりするのは、具体的応用の可能性が確認されてからのことであろう。
*)事後評価実施時点

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This page updated on July 15 2004

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