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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムA(権利化試験)
における平成12、13年度採択課題の事後評価報告書


平成16年6月
独立行政法人科学技術振興機構
科学技術振興審議会技術移転部会権利化試験評価委員会


(別紙1)研究成果最適移転事業 成果育成プログラムA(権利化試験)

平成12年度採択課題 事後評価結果

3.試験課題の個別評価
(4)課題名    成人T細胞白血病モデル動物を用いた抗腫瘍ワクチンの開発
1)研究リーダー名
神奈木 真理 (東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 免疫治療学分野 教授)
2)試験概要と成果
 成人T細胞白血病(ATL)はヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)感染によっておこる悪性リンパ性腫瘍である。本課題では、ATLのモデル動物実験系を開発し、これを用いてHTLV-I感染腫瘍に対する抗腫瘍ワクチンおよび適応検査の開発を試みた。
その結果、腫瘍細胞に対する細胞傷害性T細胞(CTL)の標的抗原がHTLV-I Taxであることを見いだし、その主要エピトープのアミノ酸配列を同定した。この配列の合成オリゴペプチドを免疫した動物から得られたT細胞は生体内でHTLV-I腫瘍を縮小させた。これは、Tax部位のCTLエピトープワクチンが生体レベルでHTLV-I腫瘍に対する抗腫瘍効果を持つことを示す。さらにヒトにおいて、既に見いだしていたHLA-A2拘束性Tax特異的CTLエピトープの他に、日本人に多いHLA-A24拘束性の強力なエピトープを同定した。

特許出願件数:国内1件*
3)総合評価
 ATLの治療ワクチン開発のためのモデル動物の開発および実験モデル動物のワクチンについて権利化されている。
 ATL発病リスク検査法の権利化を急ぐべきである。
 ヒトでの臨床テストの結果をみないと有効性が明確にならない。
 ヒトへの応用に際しては検証すべき点が少なくないが、実用化の可能性は高い。
  ATL発症リスク検査とワクチンを生産する新産業分野はひらけるがその市場性は狭い。しかし社会的貢献度は高いので、ヒトへの応用を是非進めてほしい。
*)事後評価実施時点、出願手続き中を含む

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This page updated on July 15 2004

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