JST(理事長 中村 道治)は、戦略的国際科学技術協力推進事業注1)の「日本-イスラエル研究交流」注2)および「日本-英国研究交流」注3)において、以下の分野に関する研究交流課題の募集および審査を行い、平成23年度新規課題を決定しました。
「日本-イスラエル研究交流」においては、JSTとイスラエル科学技術省(MOST)注4)が共同で、「ライフサイエンス」分野のなかの「脳研究」に関する平成23年度新規課題を募集しました。
支援を決定した課題は次の通りです。
(1)「匂い情報の受容識別の分子基盤」
(研究代表者:東京大学 大学院理学系研究科 坂野 仁 教授、ワイズマン研究所 神経生物学部門 ノアム・ソベル 教授)
本研究交流は、高等動物の嗅覚系における情報処理メカニズムの解明を目指すものです。
(2)「中枢神経における細胞核構造とクロマチンダイナミクスの解析」
(研究代表者:群馬大学 大学院医学系研究科 滝沢 琢己 准教授、ヘブライ大学 遺伝学教室 エラン・メショラー 上級講師)
本研究交流は、分化や成熟時における神経細胞の遺伝子配置(クロマチン構造)を解析し、脳におけるクロマチン制御機構の解明を目指すものです。
(3)「オプトジェネティクスを用いた自閉症モデルにみられる社会行動異常の神経メカニズム解明」
(研究代表者:広島大学 大学院医歯薬学総合研究科 内匠 透 教授、ワイズマン研究所 神経生物学部門 オフェル・イツァル 主任研究員)
本研究交流は、自閉症モデルマウスと光遺伝学(オプトジェネティクス)的手法を用い、自閉症の神経メカニズムの解明を目指すものです。
「日本-英国研究交流」においては、JSTと英国バイオテクノロジー・生物科学研究会議(BBSRC)注5)が共同で、「システムバイオロジー」分野のなかの「食の安全への取り組み、産業用バイオテクノロジー促進ならびにバイオエネルギー促進に対応したシステムズアプローチ」に関する平成23年度新規課題を募集しました。
支援を決定した課題は次の通りです。
「食の安全に向けたシステムアプローチ:昆虫の感染に対する生存の鍵を担う因子を標的とした害虫制御の新しい方法論」
(研究代表者:東北大学 大学院薬学研究科 倉田 祥一朗 教授、グラスゴー大学 医学・獣医学・生命科学部 シーリーン-アン・デイヴィス 教授)
本研究交流は、システムバイオロジー的手法を用い、昆虫の免疫系を標的とした害虫制御の新技術確立を目指すものです。
今回の「日本-イスラエル研究交流」に関する募集では31件、「日本-英国研究交流」に関する募集では4件の応募があり、これらの応募課題を日本側およびイスラエル側または英国側の専門家により評価しました。JSTおよびMOSTとBBSRCはその結果をもとに協議を行い、研究内容の優位性や交流計画の有効性などの観点から、3件を日本とイスラエル、1件を日本と英国がともに支援すべき支援課題として決定しました。各国とも本年4月に支援を開始する予定で、研究期間は3年を予定しています。