課題名 | 日本側 研究代表者 |
所属・役職 | 課題概要 | |
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スウェーデン側 研究代表者 |
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1 | 単一分子レベルの酵素反応解析からがん治療法開発までの複合領域研究 | 阿部 洋 | 理化学研究所 基幹研究所 伊藤ナノ医工学研究室 専任研究員 |
本研究交流は、がん細胞で過剰に発現していることが知られるグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)の新規基質となる新規化合物を設計し、1分子レベルでの酵素反応メカニズムを解析することを目的とする。 具体的には、日本側はGSTと反応する蛍光化合物、化学発光化合物、核磁気共鳴プローブ、低分子薬剤の設計を担当し、スウェーデン側はその生物活性解析、速度論解析、細胞イメージングや薬効評価を担当する。 両国の研究チームが有機合成化学および酵素学・生物物理化学の観点から相互補完的に取り組むことで、1分子酵素解析技術に基づき、体内における代謝によりはじめて薬効が現れるように工夫した薬(プロドラッグ)の設計法やがん細胞イメージング技術の開発が期待される。 |
ラルフ・モルゲンシュテルン | カロリンスカ研究所 環境医学研究所 生化学・毒性学部門 教授 |
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2 | 細胞内におけるSOD1たんぱく質の構造・運動性解析による神経変性疾患の発症機構の解明 | 白川 昌宏 | 京都大学 大学院工学研究科 教授 |
本研究交流は、たんぱく質が本来の立体構造に折りたたまれない現象(ミスフォールディング)を生きた細胞の内部で解析することを目的とする。 具体的には、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因たんぱく質(SOD1)を対象に、日本側は細胞内たんぱく質のミスフォールディング状態を原子レベルで解析できるin-cell NMR法での測定を担当し、スウェーデン側は医学的見地から得られたさまざまなSOD1変異体の機能解析を担当する。 両国の研究チームが工学および医学の観点から相互補完的に取り組むことで、生体内におけるたんぱく質のミスフォールディングとALSをはじめとする疾患発症のメカニズムについて解明されることが期待される。 |
ミカエル・オリヴェバーグ | ストックホルム大学 生化学/生物物理学部門 教授 |
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3 | 生物輸送ネットワークのダイナミクス | 中垣 俊之 | 公立はこだて未来大学 システム情報科学部 教授 |
本研究交流は、単細胞生物の真正粘菌による輸送ネットワークの動力学を解析し、生物一般の輸送ネットワークシステムの理解に展開することを目的とする。 具体的には、生きた細胞内での物質変形や流動について、日本側は粒子追跡速度測定法などを利用した解析を担当し、スウェーデン側はその画像処理技術や数理モデル化を担当する。 両国の研究チームが生物物理学および数理生物学の観点から相互補完的に取り組むことで、例えば骨の構造安定性や血管網の輸送能などに関し、生物輸送ネットワーク全般に見られる共通の自己組織化機構のモデル化、得られたアルゴリズムを利用した人工ネットワークの最適設計法の確立が期待される。 |
デービッド・サンプター | ウプサラ大学 数学融合領域センター 教授 |
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4 | マイクロ流体ガン診断プラットホーム | 藤井 輝夫 | 東京大学生産技術研究所 教授 |
本研究交流は、がん細胞の特定や解析を一連の操作で行うことができるマイクロ流体プラットホームの開発を目的とする。 具体的には、日本側は単一細胞内部の物質をマイクロチャンバ内で解析する技術を担当し、スウェーデン側は超音波を用いたマイクロチャンバ内での細胞分離に関する技術を担当する。 両国の研究チームがマイクロ流体工学およびナノバイオ技術の観点から相互補完的に取り組むことで、がんの診断や治療に応用可能な単一細胞レベルの解析技術が開発されることが期待される。 |
トーマス・ローレル | ルンド大学 計測技術・産業電気工学部門 教授 |
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5 | 単一細胞における水・イオン動態の同時観測を可能とする技術開発 | 安井 正人 | 慶應義塾大学 医学部 教授 |
本研究交流は、単一細胞における水とイオンの動態を同時に観測できる方法を確立することを目的とする。 具体的には、日本側は高時間・空間分解能で生体試料を観測できるコヒーレント・アンチストークス・ラマン散乱顕微鏡を用いた水分子動態のライブイメージ方法の確立を担当し、スウェーデン側は蛍光イメージング法を用いたカルシウムイオン動態の解析を担当する。 両国の研究チームが医学および工学の観点から相互補完的に取り組むことで、生命の最も基本的な現象である水・電解質の調節機構の解明やそれらの異常に伴う疾患発症のメカニズムについて解明されることが期待される。 |
パー・ウーレン | カロリンスカ研究所 医科学生物物理学部門 准教授 |
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6 | ヒト心毒性検査のためのヒト細胞ネットワークプラットホームの開発と評価 | 安田 賢二 | 東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 教授 |
本研究交流は、ヒトES細胞由来心筋細胞ネットワークを利用した心毒性予測技術を開発することを目的とする。 具体的には、日本側は今まで開発してきた細胞精製技術、細胞計測チップを用いた不整脈発生予測が可能な時間的細胞電位応答ゆらぎの計測技術などを用いて心筋細胞の機能評価を担当し、スウェーデン側は世界最大規模のヒト幹細胞(ES)ライブラリーを用いた多様なヒト心筋細胞の開発を担当する。 両国の研究チームが開発に成功している細胞精製技術、細胞チップ技術と細胞ライブラリー活用技術の観点から相互補完的に取り組み、最適化することで、薬剤評価のための最適な心筋細胞の種類の同定、細胞チップや計測技術の実用化に必要な技術プラットホームの構築が期待される。 |
アンダース・リンダール | イェーテボリ大学 教授 ザールグレンスカ大学病院 臨床化学・輸血学部門 医長 |