報告書 > 評価結果(2)研究開発課題の個別評価

研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 48 ニアネット・シェイプ・ブランクの低コスト、急冷凝固連続鋳造製造法(H14-0202)

企業名 :矢内精工株式会社
研究者(研究機関名) :本村 貢(早稲田大学 理工学部機械工学科 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 本課題の主要な適用製品は、車の軽量化や地球温暖化防止の観点から、ますます需要が期待されるカーエアコン用Al(アルミニウム)部品である。Al部品を鍛造する場合、通常、多くの工程、エネルギーを必要とする押出材を使用するが、この場合、部品コストの削減は極めて困難な状況にある。
 本課題は、早稲田大学本村教授の考案によるメルトドラッグ法応用の急冷凝固連続鋳造法であり、鍛造素材とほぼ同形状の穴部を設けた凝固ロールとその上部に設けた成形ロールの間にAl溶湯を供給し、鍛造素材を得る方法である。本鋳造法では、薄板素材(ストリップ・ベルト)上の所定位置に製品形状に近い鍛造素材(ニアネット・シェイプ・ブランク)が連続的に鋳造される。本鋳造法により、ニアネット・シェイプな素材が得られ、Al鍛造部品のコスト低減が実現される。
 平成14年度に設置した急冷凝固連続鋳造装置は溶解炉、ロールなどの簡素な設備で構成された、原料・鍛造・リサイクルの一体化が可能な環境に優しい革新的装置である。本装置の開発により実用化の目途を得たが、今後、Al溶湯の温度制御などの課題を解決するとともに製造技術の確立と適用製品の拡大を図りたいと考える。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 計画された装置の製作、実験が行われたが、品質、歩留まり等に多くの問題が残り、開発は道半ばとみられる。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし。今後の取得の可能性あり。
企業化開発の可能性
 材質の問題など多くの課題があり、経済性の検討等も必要であるが、幾つかの課題が解決出来れば企業化の可能性はある。さらに2年程度の開発が必要と思われる。
新産業、新事業創出の期待度
 完成すれば新しい製造法として期待が持てる。本開発のように鍛造メーカーが使用する設備というより、鍛造ブランクメーカーとしてのビジネスモデルの可能性がある。
3 ) 評価のまとめ
 計画通りに装置の製作、実験を行ったが、装置の材質、製品の品質、歩留まり等に多くの問題が残り、開発は道半ばとみられる。企業化は幾つかの課題が解決出来れば可能性はあると考えられるが、さらに2年程度の開発が必要と思われる。アイデアは良好であり、完成すれば新しい製造法として期待が持てる。強力なマネージメントの基に開発を続けてほしい。


一覧に戻る 次へ

目次に戻る


This page updated on May 19, 2004

Copyright©2004 Japan Science and Technology Agency.