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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 47 赤外光弾性法を用いた半導体及び光学単結晶の微小歪み測定検査装置(H14-0200)

企業名 :ワイエムシステムズ株式会社
研究者(研究機関名) :山田 正良(京都工芸繊維大学 工芸学部 電子情報工学科 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 近年の半導体デバイス生産において、ウェハーサイズの大型化や配線ルールの微細化などに伴い、ウェハー内部に残留する歪みやスリップラインなどの欠陥に起因する歩留まりの低下が問題となっており、これらの欠陥を簡便に検査する装置の開発が望まれている。従来、半導体ウェハーの欠陥検査に使用されてきたX線トポグラフは、高価で且つ専用のX線施設が必要であり、しかも検査に数時間を要するため、製品検査装置として導入することは実際上不可能であった。本装置は、「手軽で安全な非接触非破壊の半導体及び光学単結晶中の歪みの定量的測定と検査」のコンセプトに基づき試作開発したものであり、光源に約1.3μmの波長の赤外光を用い、光弾性法によりGaAs、Si、InPなどの半導体または光学単結晶のウェハーに内在する微少な残留歪みやスリップラインを測定または検査することができる。タイプは2種類あり、剪断歪み測定感度1×10-5以上の高感度を特徴とするスポット型、および測定時間20分以下を目標とするアレイ型とがある。より実用化が期待できるアレイ型については、更に継続改良を進めている。これら装置の普及により、半導体や光学単結晶ウェハーの生産性の向上、これらウェハーの製造方法の改良・開発の促進、天然資源の節約、そして検査に携わる人の安全性の確保といった効果をもたらす。また、これまでになかった、新たな半導体ウェハーの製品検査装置としての、新規事業の創出に結びつけたい。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 スポット型については概ね目標を達成している。アレイ型では光源の問題があり、測定感度に問題を残した。全体としては70%程度の達成度と考えられる。
知的財産権等の発生
 発生なし。複屈折測定法について出願予定あり。
企業化開発の可能性
 装置改良によって測定時間を大幅に短縮することができれば取扱い上問題のあるX線を使う必要がなく生産工程への導入が有利となるため企業化の可能性は高い。
新産業、新事業創出の期待度
 安全で非接触・非破壊で評価時間が短縮できれば半導体の生産工程の合理化に有効である。また他に光学材料等の評価にも適用できるので検査装置分野で新事業創出への期待が持てる。
3 ) 評価のまとめ
 アレイ型の測定感度について目標を達成できていないが、光源の改良等具体的解決の方向が示されているのでモデル化は概ね目標通りの成果をあげている。企業化の可能性は高く、新事業の創出が期待できる。


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This page updated on May 19, 2004

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