報告書 > 評価結果(2)研究開発課題の個別評価

研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 42 炭素繊維へのアルミナコーティングによるアルミニウム含浸炭素繊維開繊糸織物複合材料の開発(H14-0181)

企業名 :株式会社 サカイエルコム
研究者(研究機関名) :荻原 隆(福井大学 工学部材料開発工学科 助教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 現在の社会環境、リサイクル、ナノテクノロジー、省資源、快適性、高齢化などが重要なキーワードになっている。本研究はこれらのキーワードに関与しており、製品が市場に導入される事で経済の活性化が促進されると考えられる。
 アルミニウム含浸炭素繊維開繊糸織物複合材料として、軽く、薄くかつアルミニウム含浸性の優れた炭素繊維開繊糸織物を高品質で、コスト面の優位性があるアルミナ薄膜形成体を得る方法と装置を開発するというコンセプトのもと、ゾル-ゲル法により炭素繊維の表面にアルミナを被膜する方法と、その形成体をアルミニウム含浸する方法に関して得られているデータに基づき、炭素繊維開繊糸織物の表面にアルミナ薄膜を形成する技術を確立した。
 この表面の薄膜効果によって、アルミニウム熱処理温度を3000℃から800℃へ抑制可能となり、従来問題になっている炭素繊維の劣化、莫大な設備費、エネルギー費が改善されたアルミニウム含浸炭素繊維開繊糸織物複合材製造装置としてまとめ上げ、アルミニウム複合材としての開繊糸織物の製造条件と連続稼動性の伴った装置を完成した。
 本方法により、コストパフォーマンスに優れ、かつ性能面では軽量化と共に高強度・高靭性、高熱伝導性、低熱膨張性、高リサイクル性を有した新素材として、自動車部材、航空機部材など新規産業への貢献とそれに伴う需要増加が見込める。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 炭素繊維開繊糸のアルミナ薄膜の形成は目標をほぼ達成しているが、接着性については多少課題が残っていると思われる。複合材料の強度に影響する重要な要素であり、今後の評価が待たれる。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし。今後の取得の可能性あり。
企業化開発の可能性
 炭素とアルミニウムの複合材料としての特性、即ち耐熱性と高温伝導性の両特性を兼ね備えた新材料としての開発が望まれる。
新産業、新事業創出の期待度
 炭素繊維アルミナコーティングによるアルミニウム含浸炭素繊維開繊糸織物複合材料が新規な需要を喚起できる様、必要なデータの取得を含め今後の需要創出への展開に期待したい。
3 ) 評価のまとめ
 炭素とアルミニウムのそれぞれの素材の特性を兼ね備えた複合材料として、そのメリットを活用した事業展開が望まれる。新規な需要を喚起できる様、必要なデータの取得を含め今後の需要創出への展開に期待したい。


一覧に戻る 次へ

目次に戻る


This page updated on May 19, 2004

Copyright©2004 Japan Science and Technology Agency.