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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 43 生体計測用サーモグラフィー装置を用いた皮膚血流画像計測システム(H14-0182)

企業名 :有限会社 マリーン・マイクロ・テクノロジー
研究者(研究機関名) :戸川 達男(東京医科歯科大学 生体材料工学研究所  システム研究部門 計測分野 文部科学教官教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 本課題では、環境温度切り替え法を用いたサーモグラフィー装置による生体熱物性画像の測定システムの開発を行なった。本システムは、既存のサーモグラフィー装置に後付け可能な環境温度切り換え用フードを付加し、温度切り換え前後の温度画像を収集することにより、放射率画像、放射率によって補正されたより正確な温度画像、皮膚血流と高い相関を持つ熱浸透率画像の3画像を計測するものである。本システムにより、測定対象の放射率を仮定して(実測せずに)計測している温度画像(サーモグラム)よりも正確な温度画像を得ることが可能となる。また皮膚血流状態は、末梢循環などに関して重要なパラメータであるが、現在では短時間に計測することが不可能である。本システムでは、30秒程度の静止で皮膚血流と高い相関を持つ熱浸透率画像を得ることができる。本課題では、環境温度切り換えシステムの改良を行ない、温度制御に関して飛躍的な改善を得た他、量産化技術についても検討を行ないノウハウを得た。また、被験者10名を対象とした計測実験を行ない、良好な結果を得た。今後、計測例を蓄積し、医療現場および健康産業分野への導入のためのシステムの改良を行なうことにより、新たなサーモグラフィー装置応用システムおよび皮膚血流計測システムとして実用化が有望であるものと考えられる。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 皮膚血流画像計測システムを完成させた努力は評価するが、今後はこの試作したシステムによる臨床試験が必要である。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし。今後の取得の可能性あり。
企業化開発の可能性
 商品化の可能性はあると思われるが、汎用の装置とするための易操作性、安全性等の向上に検討事項が残されている。
新産業、新事業創出の期待度
 上記の条件をクリアーできればある程度の市場は期待でき、今後の関係者の努力に期待する。
3 ) 評価のまとめ
 コストパフォーマンスが既存の装置より優れていることの確証を得るために、技術の新しいスループットを提案できる様今後の研究開発の進展が望まれる。


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This page updated on May 19, 2004

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