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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 28 プロテイン分画・同定チップの開発(H14-0134)

企業名 :株式会社 第一器業
研究者(研究機関名) :石原 一彦(東京大学大学院工学系研究科 マテリアル工学専攻 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 マイクロ微細加工により作られたマイクロ流路に、高い生体適合性(血液中のタンパク質や血球成分などの吸着や粘着を高度に抑制する性質)を持つリン脂質ポリマー(MPCコポリマー)をコーティングしてタンパク質吸着の抑制効果を確立し、高度なバイオセパレーションを可能にするプロテイン分画用MPCゲルを備え、加圧もしくは吸引のみでタンパク質混合溶液から目的タンパク質を分離し、目視によるタンパク質の同定をも可能にするプロテインチップモデルを開発した。
 本開発は、MPCゲルによるバイオセパレーション技術と、目視判定を可能にする色分けされた識別ナノ粒子技術との融合により、初めて可能となるものである。
 チップ試作、最適MPCポリマー分子構造と合成、分画用ゲル膜合成・微粒子技術により、微量検体によるプロテイン分画・同定チップの試作が完了した。
 今後、全血分離ゲル膜に改良を加え、前処理なしに極微量検体による高精度同時多項目迅速測定が可能な目視判定型プロテインチップの製品化をめざす。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 チップ試作、微細加工技術が構築され、微量検体の固定化は可能となったが、抗原抗体反応による発色程度が目視判定には不十分であり、改良の余地がある。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし。今後の取得の可能性あり。
企業化開発の可能性
 企業化の可能性としては、抗原抗体反応などにおける課題解決が前提となる。
新産業、新事業創出の期待度
 基礎的な開発は進んでいるが、総合して実用機器を作製するにはモデル化終了後の研究開発の継続が必要である。
3 ) 評価のまとめ
 モデル化を完成するには、抗原抗体反応などにおける課題解決等、更なる研究開発を必要とするが、チップ試作や微細加工技術が構築され、微量検体の固定化が可能となる等、目標に沿った成果は着実に得られている。


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This page updated on May 19, 2004

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