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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 27 ヘリウムフリー超電導磁石を用いた高磁場電子スピン共鳴装置の開発(H14-0129)

企業名 :キーコム株式会社
研究者(研究機関名) :大矢 博昭(財団法人 山形県企業振興公社 生物ラジカル研究所 副所長)

1 ) モデル化の概要および成果
 電子スピン共鳴(ESR)装置は生体や食品中の活性酸素種検出や抗酸化能評価、及び磁性体・半導体材料の評価などに広く利用されている。従来のESR装置では主に電磁石による磁場を用いているが、近年超電導磁石を用い、より高磁場で測定することにより高感度・高分解能化が可能になった。ところが、超電導磁石を用いたESR測定では磁場掃引による、液体ヘリウムの消耗が激しいため、高磁場ESR装置はほとんど普及していない。近年商品化された液体ヘリウムを使わず冷却機のみで作動する超電導磁石を用いることで、液体ヘリウム注入等の手間から開放され、従来のESR装置と同じく電源を入れるだけで容易に測定することが可能な、高磁場ESR装置を開発した。ミリ波回路・共振器部については、特に防振を念頭に設計および試作を行った。また、除振効果と使い勝手を考え超電導磁石支持台も設計し、製作した。冷却器の振動の影響はほぼ初期の目標通り(≦±0.5μm)に抑えることができた。なお、DPPH粉末試料を用い、周波数94 GHz、磁場3.35 Tの測定条件で実際にラジカル信号が検出可能であることを確認した。さらに、試料測定の幅を広げるため、試料を極低温で測定することを可能にする冷却装置の仕様を決定し、その設計・製作を行った。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 性能的にはまだ完成されたとは言えないが、評価試験可能な装置が試作された。今後は部分改良による製品化への工程となる。
知的財産権等の発生
 今後の改良過程で、基本的な知的財産権にはならないが、部分的な改良特許が生まれる可能性はある。
企業化開発の可能性
 企業化開発の可能性は十分にある。
新産業、新事業創出の期待度
 類似の開発は他社でも試みられたが、改善の余地があるとはいえ装置としてまとめたのは評価できる。十分なコストダウンが実現するなら新産業創出の可能性は高い。
3 ) 評価のまとめ
 評価試験可能な装置として試作できたのは評価できる。今後は部分改良による製品化への工程となるが、十分なコストダウンが実現するなら新産業創出の可能性は高い。市場に受け入れられる商品にまとめてほしい。


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This page updated on May 19, 2004

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