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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 26 圧電アクチュエータによる負荷補償型精密センタレスグラインダの開発(H14-0121)

企業名 :ミクロン精密株式会社
研究者(研究機関名) : 樋口 俊郎(東京大学 大学院 工学系研究科 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 本装置は、高出力圧電アクチュエータを加工位置制御に適用した精密センタレスグラインダである。主にマイクロシャフト、マイクロ工具、光学・光通信部品などの精密円筒工作物の外周面研削を行うことができる。従来、典型的な量産タイプの工作機械であるセンタレスグラインダにおいてはサブミクロンオーダーの加工精度を安定的に維持することは極めて困難である。本開発では、研削加工ユニット部の変位・振動に対し、高出力圧電アクチュエータ技術、高精度センサ技術、高精度機械設計・制御技術、精密研削加工技術を融合し、センサにより位置・変位・振動情報をフィードバックし、高出力圧電アクチュエータを高速応答させて剛性補完する独自の制振方式により研削時の振動レベルを低減させ、加工精度として繰り返し位置決め精度50nm以下、真円度および寸法精度100nm以下を目指している。今回の試作機により無負荷ながら当初目標の50nmレベルの位置決め精度を確認した。また、加工ユニットである研削砥石台において振動レベルがマイナス40%となることも確認した。今後、本基本システムをベースに実研削条件での制御の最適化を図り、研削砥石や工作物の条件、研削加工条件、環境要因による不規則変動に適応した制御技術および総合研削技術を確立し、従来クラスを超えた高付加価値製品としての位置付けを確保できるようにする。将来的には、得られたシステム制御ならびに総合研削技術を他の加工機器に適用し、各種超精密加工製品の量産化へ波及させる。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 モデル化部分の達成度はほぼ完了している。今後、実用化には各種制御条件の設定値の詰め、最適化が必要である。
知的財産権等の発生
 出願を予定している。
企業化開発の可能性
 試作した研削機を基本構造として、運転条件の追求、また制振、研削などの関連する技術の付加で、従来プロセスを越えた高付加価値の精密センタレス研削機の企業化が可能となる。
新産業、新事業創出の期待度
 高出力圧電アクチュエータ技術、高精度センサ技術を基本ベースに、従来の機械関連諸技術との融合による機能の向上は、対象としたセンタレス研削機に限らず他の加工機にも応用され産業界への寄与が期待される。
3 ) 評価のまとめ
 本モデル化で高出力圧電アクチュエータ技術、高精度センサ技術を基本ベースに精密センタレス研削機を構成できることが実証された。今後、コストダウンとともに実研削条件下での制振技術の改良および運転条件の最適化を行うことにより企業化の可能性は大きい。また、従来の機械関連諸技術との融合による機能の向上は、対象としたセンタレス研削機のレベルアップに限らず、他の加工機にも応用され、産業界への寄与が期待される。


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This page updated on May 19, 2004

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