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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 25 レーザー誘起蛍光法による超高感度NOx測定システムの開発(H14-0112)

企業名 :有限会社 精光技研
研究者(研究機関名) :梶井 克純(東京都立大学 大学院工学研究科 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 本装置は、Nd:YAGレーザーの第2高周波(532nm)を利用し、NOのレーザー誘起蛍光(LIF)を観測することにより、超高感度・超高精度の、また他の化学種の影響を受けない高い選択性を有し、小型かつ検出下限濃度5ppt(ppt=10-6ppm)以下で安定した測定ができるNOx測定システムの開発を目指した。従来の測定法、化学発光法及びレーザー2重共鳴法では、NOxを測定する際には光分解あるいは適当な触媒を用いNOxに変換して計測している。この変換の効率、選択性等の不安定要因がこれらの装置のNOx計としての精度の限界となっている。これらを解決するため、レーザー誘起蛍光の時間分解測定を利用し直接計測できる手法をとった。本装置は大気導入排気系 レーザー照射光学系(MAX1.5W、空冷式)測定セル(シングル及びマルチパスタイプ)及び検出光学系 光子計数システム レーザー光強度ゆらぎ補償システム検出信号のゲート調整システム等により構成されている。また、標準気体製造ユニットも合わせ開発を行った。当初の目標5pptに対し、シングルパスによる検出下限濃度が現段階で、500pptが得られた。今後の課題は空冷グリーンレーザーの出力安定性電気的ノイズの対策測定セルの高感度化への改造を継続して評価実験を行い当初目標を達成する。平行して、システムのコストダウン及びコンパクト化を検討し、商品化を目指す。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 検出下限濃度が当初の目標値5pptに達していないが、モデル化に対する開発努力の跡が感じられる。
知的財産権等の発生
 現在まで発生ないが、今後に期待出来る。
企業化開発の可能性
 商品化の可能性はかなり高い。企業化にはコンパクト化及びコスト・機能・性能の確認が必要である。
新産業、新事業創出の期待度
 新しい環境計測器の実現に期待が持てるが、今後の開発と並行して市場調査を行い、明確な市場ニーズをつかむ必要がある。
3 ) 評価のまとめ
 検出下限濃度が当初の目標値5pptに達していないが、担当者のまじめな努力が感じられる。企業化にはコンパクト化及びコスト・機能・性能の確認が必要であり、今後の開発に期待したい。達成出来れば企業化の可能性は高く、新しい環境計測器の実現に期待が持てる。


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This page updated on May 19, 2004

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