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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 23 パック食品用高感度異物検出装置(H14-0107)

企業名 :住友電工ハイテックス株式会社
研究者(研究機関名) :田中 三郎(豊橋技術科学大学 工学部エコロジー工学系 助教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 本装置は超高感度磁気センサを用いてスーパーマーケットなどで販売されるパック食品内の金属系異物を高感度で検出する装置である。センサに高温超伝導SQUID磁気センサを用いることにより、従来の検出装置では不可能であった高感度検出を実現した。その特徴として、直流帯磁法に加えて新規に開発された交流磁化法を併用することにより、磁性体のみならず従来の金属検出技術(渦電流法)では検出感度の低かったSUS304ステンレス片や真鍮などの非磁性金属についても検出が可能となった。これにより、金属系のあらゆる微小異物を検出することができる。今回開発した試作機を用いて、動作原理の実証および検出可能な対象(材質、サイズ)の確認により、既存の金属検出器では検出が不可能なφ200μmの鉄球およびφ300μmのSUS304ステンレス球の検出が可能であることを実証した。所期の目標は達成したが、実用化には内外来ノイズによる不安定動作が懸念されるため、自発ノイズ除去、外来ノイズ低減、動作安定性の向上等が必要であり継続検討中である。今後は、さらにパック食品に限らず各種食品、薬品あるいは工業原材料等の混入異物検出への適用拡大を目指す。
※SQUID(Superconducting QUantum Interference Device;超伝導量子干渉素子)

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 モデル化の目標(検出感度、検査対象サイズ、ベルト速度)は十分達成した。但し、ノイズや測定距離に課題は残るので、試作機のさらなる改善が必要である。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし。今後の取得の可能性あり。
企業化開発の可能性
 検出装置としての機能は確認されたので、引き続いて実用化に必要なノイズ除去や動作安定性の向上等が達成されれば、企業化の見通しが得られる。
新産業、新事業創出の期待度
 本技術は、低コスト化が達成できれば様々な分野での応用が可能であり、目標のパック食品に限らず各種工業原材料の混入異物の検出等への適用が期待できる。
3 ) 評価のまとめ
 本モデル化で、既存の金属検出器では不可能な微小金属の検出ができることが確認された。今後ノイズ対策や動作安定性等の改善を要するが、基本的なモデル化目標値は達成したものとみなされる。本技術は様々な分野で応用が可能であり、小型高感度化のみならず低コスト化が達成できれば新産業の創出が期待できる。


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This page updated on May 19, 2004

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